ゲノム医科学と社会
1 研究から診療へ―その問題点を考える

基調講演
研究から診療へ 松田 一郎

遺伝学的検査と生命倫理/生命倫理を構成する哲学/新しい生命倫理の登場/  
遺伝診療における倫理観/単一遺伝子病で出産前遺伝子診断/発症前診断と易罹患性診断/
疫学研究の整備と遺伝子検査の有効性/遺伝子解析の適用条件


研究の立場から
高血圧症の解析と倫理的諸問題 三木 哲郎

高血圧は多因子病/高血圧遺伝子の探索法/高血圧プロジェクトの推進体制/  
高血圧の遺伝子スクリーニング/高血圧の発症頻度と原因/おわりに


糖尿病の解析 岩崎 直子

糖尿病とは/糖尿病患者の割合/糖尿病の分類/糖尿病の原因遺伝子となりやすさ/
多因子疾患の原因遺伝子の探索法/糖尿病の罹患同胞対調査/
二型糖尿病の原因遺伝子/カルパイン10遺伝子多型と二型糖尿病/まとめ


診療の現場から
遺伝子診療の立場からの倫理的諸問題 小杉 眞司

遺伝子検査にともなう情報と問題点/データベースとして必要な情報とは/
単一疾患遺伝子検査に必要な情報/スニップ診断の問題点/
ポストシークエンスの時代に向けて/遺伝子解析を診断へ応用するために


遺伝医療とこころのケア 玉井真理子

大衆化した遺伝子とDNA/どんな相談があるか/先天異常の告知と障害受容/
出生前診断の例/発症前遺伝子診断/臨床心理士に対する素朴な疑問


パネルディスカッション
研究から診療へ―その問題点を考える

遺伝情報の保護体制はどうなっているか/研究と診断との区別/個人情報の管理と情報公開/
遺伝カウンセリングで確率をどのように説明するか/多因子疾患の発症しやすさを、どう伝えるか/
スポーツジムでの遺伝子診断/遺伝教育の充実を/研究と診断の境界はどこか/
研究的な要素を含んだ診療分野の確立を/研究と診断の分離と費用負担/
研究と診療のグレーゾーンを診療でどう扱うか/信州大学における遺伝カウンセリングの診療体制


2 個人情報の保護を中心に

基調講演
ゲノム医科学と社会 菅野 純夫

ヒトゲノム研究の足跡/遺伝情報の配列/ゲノムプロジェクトと医学/生活習慣病の相関解析/
多因子病の疾患感受性遺伝子の探索/相関解析例/相関解析を支える考え方/
連鎖不均衡/ゲノム医科学の研究体制/ゲノムセンターの活動―糖尿病/
喘息・アレルギーの解析/高血圧/ヒトゲノム研究に関する倫理指針/おわりに


ゲノム医科学研究から
ゲノム研究の応用に向けて 羽田  明

「健康日本21」/これからの医療とゲノム成果の応用/遺伝と病気/
遺伝要因の解明―川崎病の解析例/遺伝要因の解明―クローン病の解析例/
多因子疾患における遺伝子の関与/ゲノムの成果を応用するために/
社会にうけいれられる体制の整備


『三省指針』について
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針 菱山  豊

指針策定の経緯/『三省指針』の構成とポイント/インフォームドコンセントとは/
個人情報の保護/ヒト遺伝情報に関する国際宣言/『指針』の課題


研究倫理の立場から
人を対象とする研究における個人情報保護 鈴木 美香

はじめに/理研における人を対象とする研究/個人情報とは/個人情報の定義/
なにを保護すべきか/ゲノム情報(遺伝情報)の特殊性?/どう保護すべきか/
個人情報管理者の責務/そのほかの配慮事項/個人情報保護と社会


法学の立場から
ゲノム医科学と社会 丸山 英二

インフォームドコンセントの要件/個人情報保護法/『個人情報保護法』とOECDガイドライン/
OECD八原則と個人情報取扱事業者の義務規定対応/『個人情報保護法』中の医学研究に関係する条文/
医療情報の取扱いの基本原理・基本原則/『ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針』/
情報開示について/遺伝的危険を警告する権利/おわりに


パネルディスカッション
ゲノム医科学と社会 ―個人情報の保護を中心に

人間社会にたいせつな多様性/遺伝子による差別・偏見の排除を/
インフォームドコンセントの取得法/ゲノムの教育は必要か/ゲノム教育の重要性/
DNA試料のバンキング/バンクに関する体制整備と理解を/
バンクに対する日本独自のルールづくりを/データベースの安全性の担保/個人情報の保護・管理法/
個人情報管理の漏出防止と罰則規定/個人情報管理者に対する守秘義務と罰則/
個人情報管理者の位置づけと倫理委員会の質/健康保険加入と遺伝子差別の現状/まとめ


Q&A

3 個人情報の保護を中心に��

基調講演 高血圧遺伝子解析とテーラーメード医療 荻原 俊男

高血圧の分類/本態性高血圧の病因/高血圧遺伝子の解析法/高血圧の候補遺伝子/
レニン・アンジオテンシン系の作用機序/アンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子多型と高血圧/
アンジオテンシノーゲン遺伝子多型と高血圧リスク/
レニン・アンジオテンシン系は陸上生活をする生物に必須であった/
単一遺伝性高血圧症の遺伝子解析/高血圧とテーラーメード医療


神経疾患遺伝子解析とゲノム医科学 戸田 達史

神経変性疾患とは/神経疾患は異常蛋白質の凝集・蓄積に起因する/
パーキンソン病の特徴/孤発性パーキンソン病の遺伝子解析/
ポリグルタミン病の発症機序と治療標的/新しい治療薬の開発に向けて


個人情報の保護
倫理審査委員会について 小杉 眞司

ヒトゲノム・遺伝子解析研究の倫理的特徴/倫理委員会/
京都大学大学院医学研究科医学部の医の倫理委員会/
倫理審査委員会の役割と特徴/遺伝子解析研究に関する審査の流れ/
『個人情報保護法』と個人遺伝情報の保護にかかわる動向/『三省指針』の見直し


分子疫学コホート研究と個人情報保護  玉腰 暁子

分析疫学研究の方法論/分子疫学コホート研究の意義/
コホート研究の流れ/追跡調査と生体試料の解析/生体試料と個人同定/
個人情報保護の方策/分子疫学コホート研究の課題


パネルディスカッション
ゲノム医科学と社会
―ゲノム医科学の成果はどう活かされるのか

新しい治療法の開発につながる/がん登録制度は、個人情報保護上、問題はないか/
疫学研究上不可欠ながん登録は個人情報保護の適用外/指紋は個人情報にもなる/
カルテ番号は『三省指針』の適用外か/ゲノム情報の取扱いに関する意識の国際事情/
インフォームドコンセントの得かたに工夫を/将来解析される項目についての同意を得られるか/
病因遺伝子の解析は連結可能匿名化で/新しい『三省指針』は連結可能匿名化を基本としている/
他施設との共同研究における連結可能匿名化の矛盾/臨床検査には二面性がある/
認定遺伝カウンセラー制度による遺伝カウンセラー育成が始まる/
バイアスを軽減する努力を払う/公開を同意していない試料は除外される/おわりに


�� 研究から診療へ―その問題点を考える 
文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「ゲノム」4領域、ゲノム医科学ネットワーク委員会、統合ゲノム社会との接点委員会の主催により平成14年11月29日に新大阪イベントホール「レ ルミエール」(大阪府)にて開催されたシンポジウム「研究から診療へ その問題点を考える」での講演を収録したもの。

�� 個人情報の保護を中心に
同主催により平成16年1月28日に一橋記念講堂(東京都)にて開催されたシンポジウム「ゲノム医科学と社会 個人情報の保護を中心に」での講演を収録したもの。

�� 個人情報の保護を中心に��
同主催により平成16年11月10日にテイジンホール(大阪市)にて開催されたシンポジウム「ゲノム医科学と社会 個人情報の保護を中心に」での講演を収録したもの。