文化財の保存と修復 5−世界に活かす日本の技術
三輪 嘉六
独立行政法人国立博物館九州国立博物館(仮称)設立準備室長。昭和13年生まれ。日本大学史学科卒業。奈良国立文化財研究所研究員、文化庁主任文化財調査官、東京国立文化財研究所修復技術部長、文化庁美術工芸化課長、同文化財監察官を経て、平成10年より現職。専門は考古学、博物館学、文化財学。文化審議会、文化財分科会の各専門委員、独立行政法人評価委員会委員(文化分科会)をはじめ、各地で文化財の保存・活用についての各種委員。平成11年から文化財保存修復学会会長に就任。著書に『日本馬具大観 I〜IV巻』(編著、吉川弘文館)、「家型はにわ」『日本の美術』(至文堂)、「美術工芸品をまもる修理と保存科学」『文化財を探る科学の眼 5』(国土社)、「Horses in Ancient Times」『Horses and Humanity in Japan』(The Japan Association for International Horse Racing)、「文化遺産危機管理的基本課題」『1999台湾集々大地震-古蹟文物震災修復技術諮詢服務報告書-』(台湾国立文化遺産保存研究中心)など。

吉村 作治
早稲田大学人間科学部教授、早稲田大学エジプト学研究所所長。工学博士。昭和45年早稲田大学第一文学部卒業、カイロ大学考古学研究所留学。早稲田大学非常勤講師、助教授を経て、平成8年より人間科学部教授。大学在学中の昭和41年、早稲田大学古代エジプト調査隊を組織し、エジプト全土をゼネラル・サーベイする。昭和46年ルクソールにおけるマルカタ南「魚の丘」遺跡において彩色階段を発見し、続いて、クルナ村の貴族墓やギザ台地での調査などを行う。現在では、ルクソール、王家の谷・西谷、アブ・シール南遺跡、ダハシュール北遺跡の発掘調査を手がけている。専門はエジプト美術考古学。著書に『古代エジプト講義録』(上・下)(講談社)、『エジプト発掘30年』(平凡社)、『ピラミッドの謎』(講談社)、『古代エジプトを掘る』(PHP文庫)、『エジプト美の起源・カイロ学物館入門』(小学館)など。

増田勝彦
昭和女子大学大学院教授。昭和40年東京教育大学農学部林学科卒業。同年4月から遠藤得水軒で絵画・文書修復に携わり、昭和48年から東京国立文化財研究所修復技術部研究員、同部長を経て、平成14年より現職。専門は紙と布を素材とした文化財の修復技術。発表論文・著書に「Micro dots adhering for paper conservation and offset application of paste」IIC 19th International Congress Baltimore(2002)、「美術工芸品の保存・修復の現状と課題−絵画・文書を中心に−」『文化財の保護第34号』(東京都教育委員会、2002)、「受託研究報告-藩札料紙の研究-」『保存科学37号』(1998)、「和紙とはどういう紙ですか」『和紙の手帖II』(1996)、「装コウの技術」「修復記録」『在外日本美術の修復』(中央公論社、1995)など。

大和 智
文化庁文化財部建造物課主任文化財調査官。昭和52年東京工業大学工学部建築学科卒業、昭和59年東京工業大学理工学研究科建築学専攻博士課程中退。東京工業大学工学部建築学科助手を経て、昭和62年より文化庁勤務。現在は主に国宝・重要文化財の指定を担当。専門は日本建築史(特に近世の住宅史)、文化財建造物保存。著書に『日本建築の精髄桂離宮−日本名建築写真選集19巻』(新潮社、1993)、『歴史的建造物の活かしかた』(共著、学芸出版社、1999)『城と御殿−日本の美術405号』(至文堂、2000)など。

中川 武
早稲田大学理工学部建築学科教授、日本国政府アンコール遺跡救済チーム団長。工学博士。昭和47年早稲田大学理工学研究科博士後期課程修了。早稲田大学理工学部助教授を経て、昭和58年より現職。専門は比較建築史。特にアジアの文化遺産の保存修復に関心をもつ。平成10年カンボジア・サハメトレ賞受賞。著書に『建築様式の歴史と表現』、『日本の家』、共著書に、『アンコールの神々BAYON』など。

矢野 和之
株式会社文化財保存計画協会代表取締役、駒沢大学文学部歴史学科非常勤講師。昭和44年武蔵工業大学建築学科卒業、同大学院建築学専攻(修士・博士)修了。専門は文化財保存計画、日本建築史。主に文化財(史跡、文化財建造物など)の保存修理・整備の計画、設計、歴史を活かしたまちづくり計画立案、海外の遺跡の修復の技術指導に携わっている。著書に『甦る古墳文化』(サンポージャーナル)、『空間流離』(建築知識社)、共著書に、『パッシブ設計手法事典』(彰国社)、『歴史のまちのみちづくり』(交通計画協会)などがあるほか、『重文熊本城宇土櫓保存修理工事報告書』、『史跡観音山古墳保存修理工事報告書』など、報告書多数。業務経歴に、史跡観音山古墳、重文熊本城宇土櫓、熊本城数寄屋丸二階御広間、史跡志波城跡、交河故城(中国・トルファン)、特別史跡登呂遺跡、史跡出島和蘭商館跡、大明宮含元殿(中国・西安)、西都原古墳群、ファヤーズテパ遺跡(ウズベキスタン)、クムトラ千佛洞(中国)。

西浦 忠輝
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所国際文化財保存修復協力センター・センター長代理(地域環境研究室長)。東京農工大学卒。昭和45年東京農工大学卒業。昭和50年東京国立文化財研究所入所。修復技術部主任研究官、アジア文化財保存研究室長、国際文化財保存修復協力室長、国際文化財保存修復協力センター環境解析研究指導室長などを経て平成13年より現職。ICOMOS(国際記念物遺跡保存会議)石造物専門委員会副委員長。九州国立博物館(仮称)諸機能検討会指導助言者。専門は保存科学。現在は文化財保存国際協力事業を担当。中国、タイ、パキスタン、エジプトなどで保存修復プロジェクトを推進。共著書に『美術工芸品の保存と保管』、『文化遺産の保存と環境』、『アジア・知の再発見−文化財の保存修復と国際協力−』、『おもしろアジア考古学』、『文化財の保存と修復−何をどう残すのか−』なDPがあるほか、保存修復に関する論文多数。

沢田 正昭
独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所埋蔵文化財センター・センター長、京都大学大学院人間・環境学研究科併任教授。学術博士。昭和44年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程(保存科学専攻)終了。奈良国立文化財研究所文部技官、同センター研究指導部長を経て、平成11年より現職。専門は文化財の保存科学。現在は中国古墳壁画および塑像の分析と保存修復に関心をもつ。著書に「遺跡・遺物の保存科学」『新版古代の日本 第10巻 古代資料研究の方法』(角川書店、1993)、「金堂壁画と保存科学技術」『法隆寺金堂壁画』(朝日新聞社、1994)『文化財の保存科学ノート』(近未来社、1997)、「やきものの調査研究法、顔料の調査研究法」『日本の美術No.400、美術を科学する』(至文堂、1999)など。