第18回「大学と科学」極微な力で拓くナノの世界−原子・分子のナノ力学最前線−
極微な力で拓くナノの世界― 原子・分子のナノ力学最前線―

A セッション●基調講演

ミクロな力で見た身近なナノの世界― 摩擦と帯電をミクロに探る―
大阪大学大学院工学研究科教授 森田 清三
はじめに/マクロな帯電の歴史、法則、原因/マクロな帯電からミクロな帯電へ/電圧制御型のミクロな帯電と電荷の静電気力観察/正電荷と負電荷の帯電機構/接触帯電電荷の拡散と散逸/負電荷の接触帯電と電荷の散逸モデル/高密度に接触帯電した負電荷の静電気力の観察/電荷の相転移モデル/マクロな摩擦の歴史、法則、原因/マクロな摩擦からミクロな摩擦へ/マクロな摩擦の観察/格子周期をもつ原子レベルの2 次元摩擦現象/格子周期をもつ2 次元摩擦現象の定量化/格子周期をもつ2 次元摩擦現象の揺らぎ/格子周期をもつ2 次元摩擦現象の凝着と原因/格子周期をもつ2 次元摩擦現象の荷重依存性/2 次元スティック・スリップモデル/おわりに

B セッション●ナノ力学の最前線

原子と原子を結ぶ1 本の共有結合力を検出する
東京大学物性研究所助教授 長谷川幸雄
共有結合とAFM の原理/ AFM とSTM の距離敏感性/探針と試料の間に働く力/ファンデルワールス力の抑制/力の検出・測定/ Si(111)7 × 7 表面のAFM 像/フォース・カーブの測定/ AFM のプローブ/まとめ

ナノ世界における静電気力とエネルギー損失
北陸先端科学技術大学院大学材料科学研究科助教授 富取 正彦
はじめに/ナノ計測技術と理論計算の進歩/ NC-AFM 像の電圧依存性/NC-AFM による原子・分子の操作と組立/ピエゾ抵抗型シリコンカンチレバーとナノ力学的ナノピラー成長による探針の調製/印加電圧による静電気引力と変位電流/ NC-AFM とトンネル電流の同時観察/Ge / Si(111)のNC-AFM 像と散逸エネルギー像/単振動ポテンシャルと探針−試料間相互作用/おわりに

C セッション●ナノの力で見た原子の世界

原子を区別して動かすナノの力― 単一原子の分析計測―
大阪大学大学院工学研究科教授 菅原 康弘
新しい計測技術― 原子間力顕微鏡―/原子種を同定する技術/電子軌道の違いによる相互作用力/ Si(100)− Sb 理想表面での原子種の同定/限恩胸劼亮鑪爐瞭営蠅浪椎修/ Si / Ge 混在表面のAFM 像/AFM で水素原子をとらえる/原子間力顕微鏡を用いた原子操作/おわりに

個々の原子の力をどのように視るか?
早稲田大学大学院理工学研究科教授 塚田  捷
はじめに/理論的に課せられた課題/原子尺度相互作用と計測量/Si(111)√3 ×√3-Ag 表面のシミュレーション/シミュレーション像と計測像/NC-AFM のシミュレーション/探針の構造の効果― 理論は実験を再現― /カーボンナノチューブを利用した探針/散逸揺動定理と揺動力顕微鏡/おわりに

D セッション●ナノの力で見た分子の世界

ナノの力で分子をみて操作する― 単一分子イメージング―
京都大学大学院工学研究科助教授 山田 啓文
はじめに/有機分子デバイスの可能性/自己組織化膜(SAM 膜) 個々の原子の力をどのように視るか? アルカンチオール分子とチオール基の役割/金属フタロシアニン― 有機半導体― 個々の原子の力をどのように視るか? フタロシアニンの分子イメージング/ 2 つの分子種からなるSAM 膜の電位測定個々の原子の力をどのように視るか? ナノスケール分極の原理と制御/おわりに

分子が感じるナノの力
神戸大学理学部教授 大西  洋
非接触型原子間力顕微鏡とナノの力/ NC-AFM による力の計測/引力を実感する実験分子が感じるナノの力カルボン酸イオンの観察/二酸化チタン基板表面への解離吸着分子が感じるナノの力カルボン酸分子層の混合単分子膜の顕微鏡像/カルボン酸イオン分子の高さの計測分子が感じるナノの力ファンデルワールス力の関与/分子の中身をのぞく/まとめ
E セッション●生体分子をナノの力で観て操作する

DNA ・たんぱく質を操作するナノの力― 生体分子のナノ計測―
東京工業大学大学院生命理工学研究科教授 猪飼  篤
はじめに/ AFM でDNA 分子を触る/ AFM による染色体像分子が感じるナノの力細胞表面の物質の検索と分布測定/たんぱく質の立体構造の計測分子が感じるナノの力シャペロニンとたんぱく質の相互作用/たんぱく質を引き伸ばす分子が感じるナノの力たんぱく質を引き伸ばして立体構造を壊す/炭酸デヒドラターゼの立体構造分子が感じるナノの力炭酸デヒドラターゼ引き伸ばしのシミュレーション/まとめ


たんぱく質の引っ張りを計算機で観察する― 1 分子操作の計算機シミュレーション―
自然科学研究機構・分子科学研究所教授 岡崎  進
はじめに/計算機で行う化学実験/分子の運動を追跡する分子が感じるナノの力2 分子間に働く力― 分子動力学法/α-ヘリックスの延伸実験分子が感じるナノの力延伸にともなうα-ヘリックスのコンフォメーション変化分子が感じるナノの力ポリペプチドのコンフォメーション変化/ポリアラニンのシミュレーション分子が感じるナノの力シミュレーション値と実験値の比較/自由エネルギープロフィール/まとめ

F セッション●特別講演

ナノプローブ技術が切り開くナノテクノロジーの夢
大阪大学大学院工学研究科教授/物質・材料研究機構ナノマテリアル研究所所長 青野 正和
ブレークスルーと新しい計測分析技術/ナノテクノロジーを支える顕微鏡の発明/ 2 探針STM の開発/ 3 探針STM、4 探針AFM/STM の開発/ErSi ナノワイヤの観察と計測/電気伝導度の次元性/導電性有機薄膜の電気抵抗の測定/重合したC60 薄膜の電気抵抗測定/1 点刺激で連鎖重合を誘起する/ナノワイヤによる配線/ポリジアセチレン高分子鎖の電気伝導/ポリジアセチレンナノワイヤの応用/原子スイッチの開発と利用/今後の展望

G セッション●プローブ顕微鏡を極める

カーボンナノチューブで操るナノの力
大阪府立大学大学院工学研究科教授/大阪大学大学院工学研究科特任教授 中山 喜萬
CNT の電気的な性質/ CNT の機械的性質/ CNT の先端は閉じている/SPM 探針としてのCNT の特徴/空間分解能/ CNT カートリッジの製作/ナノファクトリー内でのCNT の操作/ CNT 探針の座屈力、ヤング率の計測/CNT 探針を使ったDNA とシリコンウエハ表面の観察/ナノピンセットの製作/

ナノ構造中の原子を区別して3 次元で見る
金沢工業大学工学部教授 西川  治
電界放射顕微鏡と電界イオン顕微鏡/ FEM とFIM の特徴/3 次元アトムプローブの特長/位置感知型イオン検出器を備えたアトムプローブ/微細な突起をもつ引出電極による分析/カーボンナノチューブの分析/CNT の水素吸蔵特性/シリコンの特性評価/分析結果の立体表示/おわりに

H セッション●ナノの力で磁性に迫る

ナノの力で解き明かす原子の磁性
北海道大学創成科学研究機構特任教授 武笠 幸一
磁石とその利用/ミクロな磁性/交換相互作用力顕微鏡/交換相互作用力の計算と計測/反強磁性体NiO の測定実験― 試料と探針の準備―/ NiO(100)表面の測定結果/ラインプロファイルの解析/シミュレーション結果― 第1 原理計算― /ナノの力で解き明かす原子の磁性/おわりに

磁気記録をナノの力で観察する
群馬大学大学院工学研究科教授 保坂 純男
ナノの世界の上に立つ磁気記録/ MFM における力の検出/ MFM の分解能磁気記録をナノの力で観察する原子間力と磁気力/探針−試料間隙依存性/ MFM の高性能化へ向けて東京工業大学大学院生命理工学研究科教授 猪飼  篤動作環境によるMFM 画像の比較/ナノ領域の磁気記録パターン磁気記録をナノの力で観察する表面漏洩磁場分布の測定/ MFM による微小ドットの記録・再生/おわりに

I セッション●パネルディスカッション
極微な力で拓くナノの世界− 原子・分子のナノ力学最前線−
京都大学大学院工学研究科助教授 山田 啓文
神戸大学理学部教授 大西  洋
成蹊大学大学院工学研究科助教授 佐々木成朗
北陸先端科学技術大学院大学助教授 富取 正彦
東京工業大学大学院生命理工学研究科教授 猪飼  篤
実験の現状と将来閉会にあたって
原子間力顕微鏡/ NC-AFM で可能な測定/広がるナノ力学技術/今後の課題と将来

理論の現状と将来
ナノテクノロジーにおけるナノ力学技術/ NC-AFM の階層性― サイズの階層性― /NC-AFM の階層性― 力の階層性―/力の階層性と材料/NC-AFM 理論をどのように組み立てたか?/探針−試料表面間相互作用力の計算法/シミュレーション法の確立と将来

話題提供「原子への応用」
探針先端の構造/ NC-AFM の観察例― 原子から生体分子へ―

話題提供「バイオへの応用」
細胞レベルでの観察/たんぱく質を引き抜いて調べる/針へのこだわりと期待
生体分子の観察用探針の製作/物性計測・分析法への展開/相互作用力の理論計算
プローブ顕微鏡の展望/細胞手術への展望

会場からの質問/まとめ

閉会にあたって
大阪大学大学院工学研究科教授 森田 清三