文化財の保存と修復 7−伝統ってなに?
朝早くから多数の方々にご参集いただき、心からお礼申しあげます。
本シンポジウムは、文部科学省科学研究費補助金のなかの研究成果公開促進費を得て、文化財保存修復学会が毎年1 回開催しており、今回が7回目の開催になります。大きな表題である『文化財の保存と修復供戮痢岫供廚蓮2回目ということではなく、2区切り目であることを表しています。今回は「伝統ってなに?」という、ある面ではわかりやすく、ある面では複雑なテーマを掲げて、私どもの学会関係者などがかかわっています文化財の保存・修理・活用にかかわるなかで、文化財についての伝統の基本的なお話をしていただきます。
本シンポジウムを開催するにあたって、多くの方のご後援をいただきました。
文化庁をはじめ京都府、京都府教育委員会、京都市教育委員会、京都市、私どもの兄弟学会である日本文化財科学会、全国博物館学講座協議会、国宝修理装師連盟、文化財保存支援機構、京都新聞社、NHK京都放送局に、お礼申しあげます。

文化財保存修復学会の沿革と
ここで、少しだけ私たち文化財保存修復学会について紹介させていただきます。本学会の設立には諸説ありますが、昭和8年ということが定番で、その後、いくつかの変遷を経て今日に至っています。会員数もごく最近1,000 名に達し、会員の方々が文化財の保存、修理の多くの場面で活躍しています。学会の目標のひとつは、科学的な調査・研究を通じて文化財の保存・修復に協力し、同時に文化財の伝統的な保存のあり方を検証し、研究していくことです。
ご存知のように、近年、文化財の分野ではいくつかの課題を抱えています。具体的には、カビや保存上のさまざまな問題を抱えているキトラ古墳、高松塚古墳などがその典型でしょう。また、制度面でも年々文化財の範囲が広がり、いくつかの課題が表面化してきました。文化的環境の保存も、近年、さかんに議論されるようになりました。これまでも、歴史的環境を保存していこうという動きがありましたが、それをさらに進展させて、日本の原風景のひとつである棚田、里山、たとえば甲州のブドウ畑などまでも新しい種類の文化財としての保存が検討対象になっています。