ブレインサイエンス・レビュー2006
序章 細胞・分子から脳機能まで
千葉・柏リハビリテーション病院精神神経センター 川合 述史

ジャンクトフィリンと結合膜構造
東北大学大学院医学系研究科 竹島 浩
はじめに/ 1. リアノジン受容体の基本生理機能/ 2. RyR と結合膜構造/3. ジャンクトフィリンと結合膜構造/1 型ジャンクトフィリン(JP-1)/ 2 型ジャンクトフィリン(JP-2)/3 型および4 型ジャンクトフィリン(JP-3、JP-4)/おわりに

NMDA型グルタミン酸受容体スプライシングの生理的意義
富山医科薬科大学大学院医学系研究科 森 寿
はじめに/ 1. NMDA 型グルタミン酸受容体サブユニットの分子的多様性/2. スプライシング制御/3. GluR ζ1 サブユニットのカセット領域の機能/N1 カセット領域/細胞内カルボキシル末端部位/C1 カセット領域/ C2 ならびにC2’カセット領域/4. 個体レベルでのスプライスバリアントの機能解析/おわりに

軸索誘導およびシナプス可塑性のモデル解析
玉川学園大学学術研究所 西山 誠
はじめに/ 1. ガイダンスシグナル/ 2. 成長円錐ターニングアッセイ/3. Netrin-1 両方向性ガイダンスシグナルにおけるカルシウムチャネルの役割/4. Netrin-1 シグナリングにおけるサイクリックヌクレオチド(cAMP/cGMP)の影響/5. Netrin-1 シグナリングにおけるサイクリックヌクレオチドによるカルシウム/シグナリングの制御/6. Sema3A 両方向性ガイダンスシグナルにおける細胞膜電位ならびにカルシウム/シグナリングの制御/7. STDP について/8. STDP の実験とシミュレーション/モデルの作成と膜電位の変化/シナプスコンダクタンスの周波数による変化/Ca2 +濃度の演算/ Cl−濃度の演算/シナプス可塑性の演算法/シミュレーション結果/9. 今後の課題

視床皮質シナプス放出確率の発達と可塑性
大阪大学大学院医学系研究科 木村 文隆
はじめに/1. バレル皮質とシナプス可塑性/齧歯類のバレル構造/バレル皮質の可塑性/2. 放出確率の発達にともなう変化/放出確率とは/放出確率の発達にともなう変化/3. The Questions/4. 放出確率の検討: MK-801 とPaired Pulse Ratio/MK-801 による推定/ Paired Pulse Ratio/5. LTP 前後でのPPR の変化/ 6. サイレントシナプスとの対応/おわりに

グリア細胞によるシナプス伝達制御の研究
国立医薬品食品衛生研究所 小泉 修一
はじめに/ 1. ATP 受容体“P2 受容体”/2. 脳内グリア細胞とアストロサイト間情報連絡“gliotransmission”/3. アストロサイト−ニューロン連関/アストロサイトのCa2 +波はニューロンに伝播する/アストロサイト−シナプス連関/アストロサイトからの自発的ATP 放出による恒常的なシナプス制御/おわりに

逆行性トレーサーによる嗅皮質回路の可視化 嗅皮質機能解明への遺伝学的アプローチ
京都大学大学院医学研究科 横井 峰人
はじめに/ 1. 鼻から脳へ−嗅粘膜から嗅球へ/2. 嗅球から嗅皮質へ/嗅皮質から嗅球への逆行性トレーシング/嗅球M/T cell 全体のマーキング/おわりに

においの記憶を支える可塑性のメカニズム
高知大学医学部奥谷 文乃
はじめに/ 1. においの学習モデルとしての幼若ラット/2. 嗅球におけるにおいの情報処理/3. 実験方法/行動薬理学的手法/生化学的手法/電気生理学的手法/4. 僧帽細胞を脱抑制させる薬物− GABAA 受容体作動薬・括抗薬の注入効果/5. 可塑性の証明−転写調節因子CREB の発現/CREB のantisense ODN(Oligodeoxynucleotide)の注入/CREB リン酸化酵素MAPK/ERK/6. 可塑性の証明− LTP の誘導/ 7. 今後の課題

視覚と体性感覚による四肢運動知覚に関する脳内再現
京都大学大学院人間・環境学研究科 内藤 栄一
緒言/1. 実験方法/被験者/心理物理実験/第1 fMRI 実験/第2 fMRI 実験/2. 実験結果/心理物理実験/第1 fMRI 実験/第2 fMRI 実験/3. 考察/小脳における視覚−運動感覚の統合機能/左小脳と右前頭−頭頂領域の協調活動/小脳における知覚機能/4. 結語