爆発する光科学の世界−量子から生命体まで−
機構長挨拶
志村 令郎 自然科学研究機構長

 お早うございます。幸運なことに、台風が東京を中心とした関東地方をそれてくれました。これは、ここにいらっしゃる皆さま方の常日頃の心がけのおかげではないかと思っております。
 さて、自然科学研究機構について簡単に申し上げますと、国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、それから分子科学研究所の五研究所から構成されております。これらの研究所は平成十六年四月一日以前は、古くは文部省、その後、文部科学省直轄の大学共同利用機関という特殊なかたちでした。大学共同利用機関とは、国公私立大学の研究者がこの研究所の設備・施設などを自由に利用でき、またその研究所の研究者たちと共同研究ができるというだけでなく、その運営にも大学の研究者コミュニティーが参加するという日本だけのたいへんユニークな研究機関です。国立大学が二年前に法人化されると同時に、大学共同利用機関も法人化され、四つの機構になりました。自然科学研究機構は、自然科学系の五つの研究所が集まってできた一つの機構です。
 この自然科学研究機構の発足以来、立花隆さんに是非ともお願いして、経営協議会の委員になっていただき、運営等に関していろいろアドバイスをいただいています。その際、立花さんが、自然科学研究機構は日本における自然科学の最先端を走る研究機関の集合体であるから、今の日本の自然科学がどこまで進んでいるかを一般の市民に知らせたらどうかと進言してくださったことがきっかけで本シンポジウムが始まりました。第一回は、本年三月二十一日に、『見えてきた! 宇宙の謎。生命の謎。脳の謎。』という題で、主に国立天文台、基礎生物学研究所、生理学研究所が中心になって開催されました。今回は、『爆発する光科学の世界』ということで分子科学研究所が中心になり、それに基礎生物学研究所や生理学研究所の人たちも参加しています。機構外からも神奈川科学アカデミーの藤嶋昭博士や京都大学の三室守教授にも参加していただきました。
 前回が三月二十一日、今回が九月二十四日と、いずれもお彼岸の最中に開催されていますので、ある人々は「お彼岸シンポジウム」と呼んでおられるようですが、たいへんよい名称だと思いますので、これからもこの名称を継承していきたいと思っております。立花さんにはこれからも自然科学研究機構のアドバイザーとして、このシンポジウムを半ば永久にオーガナイズ、コーディネートしていただきたいと思っております。今後とも、自然科学研究機構のことをよろしくお願いいたします。甚だ簡単ですが、これをもちまして私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。