ブレインサイエンス・レビュー2008
はじめに
(財)ブレインサイエンス振興財団理事長 伊藤 正男

序章 進化し続ける脳研究
千葉・柏リハビリテーション病院精神神経センター 川合 述史

成体海馬のニューロン新生
東京大学大学院新領域創成科学研究科 久恒 辰博
 はじめに
 1.大人でも新しくニューロンが生まれていた
 2.成体海馬の新生ニューロンが誕生する過程
 3.学習により高まる海馬ニューロン新生
 4.さまざまな病態における海馬ニューロン新生
 おわりに

皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性
自然科学研究機構生理学研究所大脳神経回路論研究部門 窪田 芳之
 1.大脳皮質の局所神経回路
 2.錐体細胞のサブタイプと神経回路
 3.非錐体細胞のサブタイプ
  1) FS basket cell
  2) FS chandelier cell
  3) FS dendrite targeting cell
  4) Martinotti cell
  5) double bouquet cell
  6) large basket cell
  7) small basket cell、descending basket cell
  8) LS basket cell、LS neurogliaform cell
  9) その他の非錐体細胞
  10)非錐体細胞の機能的役割
 4.視床から皮質への興奮性入力に対する抑制
  1)各種非錐体細胞の軸索終末のシナプスターゲットについて
  2)大脳皮質の興奮性神経線維
  3)棘突起の大きさとシナプスの形態

運動制御回路の構造・機能と損傷後機能代償
自然科学研究機構生理学研究所認知行動発達機構研究部門 伊佐  正
 序論
 1.手の運動を制御する中枢神経回路
 2.皮質脊髄路の脊髄レベルでの損傷後の機能代償
  2−1 回復過程
  2−2 脊髄レベルでの変化
  2−3 上位中枢の変化
 3.まとめ

Rab27による分泌小胞の輸送制御メカニズム
東北大学大学院生命科学研究科 福田 光則
 はじめに
 1.ホルモン顆粒の開口放出制御にかかわるRabアイソフォームの網羅的解析
 2.ホルモン顆粒の細胞膜への結合過程を制御するRab3/Rab27エフェクター分子群
  1)Rab3/Rab27エフェクターの分子構造
  2)ホルモン分泌にかかわるRab3/Rab27エフェクター
  3)Slp4-aによるホルモン顆粒の細胞膜への結合機構
  4)ラブフィリンによるホルモン顆粒の細胞膜への結合機構
 おわりに

ゼブラフィッシュを用いた運動制御の遺伝学的解析
名古屋大学大学院理学研究科 平田 普三
 要約
 1.はじめに
 2.ゼブラフィッシュの初期の発生と初期の運動
 3.運動に異常のあるゼブラフィッシュ変異体の単離
 4.筋電位記録による変異体の分類
 5.アコーディオン変異体−カルシウムポンプの異常−
 6.バンドネオン変異体−グリシン受容体の異常−
 7.おわりに

シナプス形成におけるCASTの機能
富山大学大学院医学薬学研究部 大塚 稔久
 はじめに
 1.アクティブ・ゾーンと特異的たんぱく質群
 2.アクティブ・ゾーンたんぱく質CASTの構造
 3.神経筋接合部におけるCASTファミリーの局在
  1)マウス横隔膜NMJにおけるELKSの局在
  2)マウス横隔膜NMJにおけるPiccoloの局在
  3)ほかの骨格筋のNMJにおけるELKSおよびPiccoloの局在
 4.まとめ

交連神経細胞の分化運命を決める分子機構
千葉大学大学院医学研究院 斎藤哲一郎
 はじめに
 1.プロニューラル因子
 2.交連神経細胞の軸索伸張
 3.Mbh1の発現制御
  1) Mbh1は交連神経細胞で発現する
  2) Mbh1はMath1の下流で発現する
  3) Math1たんぱく質はMbh1の発現を直接に誘導する
 4.Mbh1の機能
  1) Mbh1は交連神経細胞へ運命転換できる
  2) Mbh1たんぱく質は転写抑制因子
  3) Mbh1たんぱく質は交連神経細胞の分化に必須
 5. 脊髄の交連神経細胞の分化カスケード
 おわりに

脊髄一次求心性線維の投射路を形成する分子メカニズム
福島県立医科大学医学部 増田 知之
 はじめに
 1.脊髄一次求心性線維の投射路形成
 2.非標的組織による軸索反発作用
 3.軸索反発作用の分子メカニズム
  1) セマフォリンによる反発
  2) コンドロイチン硫酸プロテオグリカンによる反発
  3) ネトリンによる反発
 4.中間標的組織による軸索誘引作用
 5.軸索誘引作用の分子メカニズム
 6.新規軸索誘引因子の検索
 おわりに

新規キナーゼ様分子LRRK2の機能解析
北里大学医療衛生学部 小幡 文弥
 はじめに
 1.家族性パーキンソン病
 2.PARK8の発見
 3.PARK8の原因分子LRRK2
  1)LRRK2の構造
  2)LRRK2の変異
  3)LRRK2変異をもつ患者の臨床と病理
 4.LRRK2強制発現細胞を用いた解析
  1)酸化ストレスに対する感受性
  2)変異LRRK2分子の細胞内発現量の解析
 5.LRRK2の基質・会合分子の探索
 6.トランスジェニック(TG)マウスの作製
 今後の課題

昆虫一次視覚中枢における波長情報処理機構─アゲハ色覚の神経行動学的研究─
総合研究大学院大学先導科学研究科 蟻川謙太郎
 はじめに
 昆虫の色覚
 複眼の構造と機能
 視葉板の構造
 視覚中枢における波長情報処理
 おわりに

索引