脳を知る・創る・守る・育む 10
伊藤 正男(いとう まさお)
NPO法人脳の世紀推進会議・理事長/(独)理化学研究所脳科学総合研究センター・特別顧問
1953年東京大学医学部卒業。東京大学医学部教授、理化学研究所脳科学総合研究センター所長などを経て、現職。
藤原賞、日本学士院賞・恩賜賞、日本国際賞、文化勲章、レジョン・ドヌール勲章、IPSEN財団賞(フランス)、ピータ・グルーバ神経科学賞(米国)。日本学士院会員、王立スウェーデン科学アカデミー、英国ロイヤルソサエティ、ロシア科学アカデミー、フランス科学アカデミーほか外国人会員。
専門分野は、脳神経生理学。抑制性シナプスのイオン過程の解析、小脳プルキンエ細胞の抑制作用の発見、小脳の運動学習機能の解明、シナプス可塑性長期抑圧の発見。


遠山 敦子(とおやま あつこ)
(財)新国立劇場運営財団・理事長、(財)松下教育研究財団・理事長 等
1962年東京大学法学部卒業、同年四月文部省(現・文部科学省)に入省。中学校課長など四課長を務め、その後文化庁文化部長、文化庁次長、教育助成局長、高等教育局長、文化庁長官を歴任。96年駐トルコ共和国大使、2000年国立西洋美術館館長を経て、01年4月より小泉内閣に民間からの文部科学大臣として入閣した(03年9月まで)。04年より現職。
他に(財)トヨタ財団理事長、(独)大学評価・学位授与機構客員教授、(独)科学技術振興機構顧問など。
文部科学大臣在職中は、国立大学法人化を含む「遠山プラン」、学力向上を唱える「学びのすすめ」のアピールを発表するなど、初等中等教育から大学までの一貫した教育改革を強力に推進。また、松下教育研究財団理事長として「こころを育む総合フォーラム」を立ち上げ、民間の英知を結集させて「こころを育む」環境づくりの重要性を討議、その成果をまとめた提言を2007年1月に発表した。
主な著書に『トルコ 世紀のはざまで』(NHK出版/2001)、『こう変わる学校 こう変わる大学』(講談社/2004)などがある。

貝淵 弘三(かいぶち こうぞう)
名古屋大学大学院医学系研究科・教授。医学博士
1980年神戸大学医学部卒業。84年同大学院医学研究科修了。85年米国DNAX分子生物学研究所に留学。90年神戸大学医学部助教授、94年奈良先端科学技術大学院大学教授を経て、2000年より現職。
専門は神経情報薬理学。
1990年に日本癌学会奨励賞、2008年に読売東海医学賞を受賞。

河野 崇(こうの たかし)
東京大学生産技術研究所・准教授。工学博士
1996年東京大学医学部医学科卒業。東京大学大学院工学研究科計数工学専攻博士課程、同大学院新領域創成化学研究科を経て2002年博士(工学)取得。浜松医科大学附属病院医療情報部医員、科学技術振興機構ERATO合原複雑数理モデルプロジェクト・グループリーダを経て、06年より現職。
専門は神経形態学的システム。
デジタル回路設計についてもデザインウェーブマガジン(CQ出版)に多数寄稿。
現在、数理モデルに基づいた設計法によるシリコンニューラルネットワークの構築研究を行っている。

内山 真(うちやま まこと)
日本大学医学部精神医学系・教授。医学博士
1980年東北大学医学部卒業。東京医科歯科大学精神科、東京都多摩老人医療センター精神科、国立精神・神経センター精神保健研究所室長、同部長を経て現職。92〜93年ヘファタ神経学病院睡眠障害研究施設(ドイツ)に留学。
専門は、精神神経医学、時間生物学、睡眠医学。厚生労働省の睡眠障害のガイドライン研究班、生体リズム障害研究班などの班長を務めた。
著書に、『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』(じほう/2002)、『睡眠障害』(家の光協会/2003)、『不眠と不安に打ち克つ本』(アーク出版/2004)など。

狩野 方伸(かのう まさのぶ)
東京大学大学院医学系研究科・教授。医学博士
1982年東京医科歯科大学医学部卒業。86年東京大学大学院医学系研究科修了。86年自治医科大学助手、90年講師、95年理化学研究所チームリーダー、98年金沢大学医学部教授、2005年大阪大学大学院医学系研究科教授を経て、07年9月より現職。
専門は神経生理学、特にシナプスの生理学。現在、シナプスの生後発達とシナプス伝達調節機構に関する研究を行っている。
2002年に塚原仲晃記念賞、05年に井上学術賞を受賞。

津本 忠治(つもと ただはる)
(独)理化学研究所脳科学総合研究センター津本研究ユニット・ユニットリーダー
1967年大阪大学医学部卒業。医学博士。内科研修医を経て、大阪大学医学部助手となる。75〜77年西独(当時)のマックスプランク生物物理化学研究所に留学、帰国後、金沢大学医学部助教授。80〜81年カリフォルニア大学バークレー校に留学。83年大阪大学教授(医学部附属高次神経研究施設)、99年大阪大学大学院教授(医学系研究科高次神経医学部門)を経て、2005年より現職。また、05年より日本神経科学学会会長。
専門は、神経科学、特に視覚系の発達と可塑性。
著書に、『脳と発達―環境と脳の可塑性』(朝倉書店/1986)などがある。

司会者紹介

合原 一幸(あいはら かずゆき)
東京大学生産技術研究所・教授
JST ERATO合原複雑数理モデルプロジェクト・研究総括
1982年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授などを経て、03年より現職。 東京大学大学院情報理工学系研究科教授(兼任)。
専門は、複雑系の数理モデリング、生命情報システム論。

樋口 輝彦(ひぐち てるひこ)
国立精神・神経センター・総長
1972年東京大学医学部医学科卒業。昭和大学藤が丘病院精神神経科教授、国立精神・神経センター国府台病院院長、国立精神・神経センター武蔵病院院長等を経て2007年4月より現職。日本神経精神薬理学会理事長、日本臨床精神神経薬理学会副理事長、日本生物学的精神医学会評議員、日本総合病院精神医学会評議員、日本うつ病学会理事。
専門は、気分障害の薬理・生化学、臨床精神薬理、うつ病の臨床研究。
著書に、『上手なストレス対処法』(三省堂/2003)、『Q&A家庭のお医者さん うつ病』(法研/2002)、『睡眠障害―心地よい眠りを取り戻すために』(日本評論社/2004)、『Primary care note うつ病』(日本医事新報社/2004)、『気分障害』(新興医学出版社/2005)、『標準精神医学(Standard textbook)』(医学書院/2005)などがある。

村上 富士夫(むらかみ ふじお)
大阪大学大学院生命機能研究科脳神経工学講座・教授
1971年大阪大学基礎工学部生物工学科卒業、74年同大学基礎工学部研究科博士課程単位取得退学。工学博士。大阪大学基礎工学部生物工学科助教授、同大学院基礎工学研究科教授を経て、2002年より現職。
専門は神経科学。特に発生神経科学。現在は発達中の神経細胞のイメージングに関心をもつ。
著書に『脳はこうしてつくられる』(羊土社/1998)、共著に『軸索ガイドの基本原理』(三輪書店/2003)などがある。