解き明かされる脳の不思議−脳科学の未来−
機構長挨拶 自然科学研究機構長 志村 令郎


趣旨説明 立花  隆


イントロダクション:科学の終焉と脳科学の未来 生理学研究所 永山 國昭 

物理空間と世界記述/物理科学の終焉/生物世界の記述/生命の非還元的構造/たんぱく質構造生成における二重制御/機械論と有機体論の統合/遺伝情報の起源/自己複製する機械(生命)の自然発生確率/脳科学の未来/まとめと展望


温度と痛みを感じるメカニズム 生理学研究所 富永 真琴

どうやって痛みや温度を感じるのか/感覚神経終末で起こっていること/パッチクランプ法の原理/痛みと温度を感じるセンサ/感覚神経が温度を感じている様子をみる/辛みは痛みに近い感覚/カプサイシン受容体がないとどう感じるか/痛みを感じる温度は変化する/温度感覚と痛み感覚/脳の温度はダイナミックに変化している


ジョジョに奇妙な脳科学 浜松医科大学 瀬藤 光利

高次機能のなかで割と簡単そうなことは何か/脳とコンピュータ/記録の仕組み/脳における記憶の仕組み/算盤玉を動かすモーターたんぱく質/算盤玉を壊す仕組み/質量分析顕微鏡の開発/おわりに



中枢神経系の再生戦略 慶應義塾大学 岡野 栄之

幹細胞の基本的性質/幹細胞システムを用いた再生医療の利点/ES細胞とは/幹細胞を用いた臨床研究の世界の現状/ES細胞の臨床応用における問題点/iPS細胞の樹立/iPS細胞を用いた神経疾患の再生医療の開発/MRIを用いたマーモセット脊髄損傷モデル軸索の可視化/iPS細胞の再生医療への応用/臨床応用に向けての課題



脳機能の発達と回復:神経回路の再編成 生理学研究所 鍋倉 淳一 

胎児脳の形と大きさの発達変化/中枢神経系の発達と行動の発達/発達にともなうネットワークの配線の変化/発達と脳障害の回復過程/多光子励起法の生体への応用/脳障害の回復過程とミクログリア/まとめ


損傷から立ち直るための脳の仕組み 生理学研究所 伊佐  正

損傷した脳の機能は回復する/中枢神経系の機能回復のメカニズムを知る/手の運動制御に関わる神経回路と脊髄下行路/運動ニューロンへの間接経路の手の精緻運動への関与/間接経路だけで回復するが…/手指の運動機能回復過程と運動関連領域の活動/運動機能回復を支える大脳皮質の神経機構/モチベーションと機能回復/まとめ


脳のなかの時間 順天堂大学 北澤  茂

私たちの脳に理想的な時間の番人はいるか/触覚で時間の番人の居所を調べる/手を交差させて時間の番人を探す/左右の手の皮膚からの信号は空間で位置づけられてから順序づけられる/時間の番人は一次体性感覚野にはいない/一次体性感覚野以外の場所で時間の番人を探す/空間と動きの領域が時間順序判断で活動/必要に応じて時間順序を再構成している/サッケード運動と視覚刺激の時間判断/サッケードの逆転効果は触覚刺激にも及ぶ/先天的に眼が見えない人は腕交差の影響をうけない/脳のなかで主観的な時間は行きつ戻りつしている


奥行きのある世界を見る脳の仕組み 日本大学 泰羅 雅登

見ることは視覚像を分析すること/二つの視覚情報処理経路/奥行きを見る脳領域/立体感を生じる手掛かり/両眼視差による立体認識/絵画的手掛かりによる立体視/三次元形態知覚の脳内メカニズム/絵画的手掛かりの統合/ヒトで立体感を再構成する脳領域を探る/広い外界を脳内に再構成する


ブレイン・インタフェースの最前線 ATR脳情報研究所 川人 光男

脳を活かす/ブレイン・マシン・インタフェースとは/BMI利用のごく自然な治療法/BMIの慢性臨床試験/サルの神経活動でロボットを歩行させる/BMIは神経科学の新しい道具となる/新しいBMI研究プログラム/国際競争力をどう達成するか/脳インタフェースの研究動向/BMIの将来? 操作脳科学の新しい流れ


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 生理学研究所 岡田 泰伸

閉会挨拶 岡田 泰伸