日本美術品の保存修復と装コウ技術 その四
第1部 セミナー講演

絵画修理の理念 ― 絵画の持つ情報量の視点から―
林   温 慶應義塾大学文学部教授
絵画の修理に求められているもの/絵画の持つ情報を残す
風輪寺蔵『釈迦如来及四菩薩像』の特徴/風輪寺本の持つ情報
風輪寺本の価値/風輪寺本の修理における基本姿勢とは/まとめ

本 ―1枚の紙から―
藤本 孝一 龍谷大学文学部客員教授
1. 紙1 枚の寸法/2. 写本のつくり方―四半本の例―
3. 時代による改装―粘葉装から袋綴へ―/4. 大和綴から線装綴
5. 巻子装から折本装、ふたたび巻子装へ/6. 基本的な考え方

料紙に残された情報 ― 古写経を中心に―
赤尾 栄慶 京都国立博物館学芸部副部長(上席研究員)
文化財としての古写経/装こうの手順/継紙と界線/古写経の料紙
古写経の界線/『李柏文書』の修理/料紙に残された情報/中国・朝鮮の古写経
奈良時代の古写経/平安時代の書跡と古写経/装飾経のこと/おわりに

絵図からみえることなど
佐々木利和 国立民族学博物館先端人類科学研究部教授
国絵図とは/国絵図の畳み方/大きな国絵図の閲覧法/
伊能忠敬の測量図の発見/東博の伊能図の由来/行方不明の『小図』発見
忠敬の流れを汲む測量図/修復後の絵地図の保存/地図のいろいろ/まとめ

料紙の価値と保存 ― 唐紙を中心として―
島谷 弘幸 東京国立博物館学芸研究部長
はじめに/1. 料紙の美/2. 唐紙/3. 中国製の唐紙/4. 日本製の唐紙/おわりに

水墨画の歴史
宮島 新一 山形大学教授
日本の水墨画はいつ始まったか/平安時代の日本の水墨画/中国の水墨画
倭絵の成立/北宋スタイルから南宋スタイルへ/南宋スタイルへの変遷を支えた絵師
郭忠恕/日本人が好んだ画家たち/日本における水墨山水図の担い手
日本の絵仏師と水墨画/初期山水図/雪舟の水墨画/日本の絵画の歴史

第2部 事例報告

朝鮮刊本の修理 ―類例調査により得た知見を踏まえて―
坂田墨珠堂
朝鮮刊本の現状/類例調査の実践/朝鮮刊本の特徴/修理/まとめ

旧修理における剥落止めの影響とその除去について
文化財保存

肌裏除去時における絹本本紙の絹目の歪み・ずれの修正
修美
はじめに/現在までの状況/報告/本紙修理事例/まとめ

修理方針決定時の課題について―釈迦如来及四菩薩像を例に―
岡墨光堂
はじめに:保存修理処置の狙いとは?/保存修理処置が絵画に及ぼす影響―肌裏紙の打ち替え/問題提起/『釈迦如来及四菩薩像』の修理事例/工夫が必要とされた条件/提案された解決案と技術方針/実施の結果/狙いは果たせたのか?/修理現場において見い出される課題(おわりに)

情報の復旧 ―ケーススタディ:応菴和尚像の修理―
岡墨光堂
はじめに/応菴和尚像の基本情報/損傷の状態/ズレの原因/修理方針の検討/修理工程と修理結果/まとめ

焼経(藍紙華厳経)の修理 ─方針と処置─
文化財保存
修理作品の形態と損傷/修理方針/修理処置/まとめ

竹紙―古来製法の実践と補修用竹紙抄造の考察―
坂田墨珠堂
はじめに/テーマ1 『天工開物』の実践/テーマ2 補修用竹紙抄造/まとめ

書跡文化財における両面からの補紙について―両面書写本を中心に―
半田九清堂
はじめに―書跡文化財における補紙/両面からの補紙による修復事例
両面書写本の一般的な補紙/両面からの補紙/まとめ

天平写経の修理 ─情報の発見と残し方─
松鶴堂
天平写経の概要/修理前調査/修理方針/白点の現状維持について/おわりに

繍仏の修理について
松鶴堂
はじめに/繍仏の形態/繍仏と絵画の構造について/過去の修理例/修理における問題点/おわりに