こころの働きと病・覚醒剤−2007〜2009世界脳週間の講演より−
心の分子メカニズムの探索:気持ちよさの生まれ方……7
東京都精神医学総合研究所 池田 和隆
薬はこころの働きを解明する糸口/脳の構造と神経伝達物質/シナプスの受容体と薬物/行動解析、遺伝子、精神疾患からこころの働きを知る/快情動の分子メカニズム/オピオイド受容体/モルヒネによる脳変化/脳の快楽中枢はどこか/絶望状態での脳の働き/薬物依存のメカニズム/鎮痛作用と脳/注意欠陥多動性障害(AD/HD)/おわりに

脳と心の分子メカニズム―発見の瞬間はどのようにして訪れるのか―……45
東京都精神医学総合研究所 糸川 昌成
統合失調症は脳の疾患/統合失調症を理解することは人間の存在の本質を理解すること/第一話 大がかりなしかけは必要ない、まずベットサイドで注意深くあること/目の動きと統合失調症をむすぶ遺伝子はないだろうか/第二話 外国の論文を鵜呑みにしない/ドーパミンD2受容体遺伝子の検査法/ドーパミンD2受容体には変異はない?/ドーパミンD2受容体のエクソン7で変異を発見/研究成果の論文発表の戦略/システインをもった患者さんには共通点がある/システインの発見、その後

体内時計のからくり……75
広島大学医歯薬学総合研究科 内匠  透
体内時計と病気/体内時計はどこにあるのか/マウスの体内時計は二十四時間周期か/血圧やホルモンの分泌にも周期がある/ヒトの体内時計のしくみ/体内時計をつくりだす遺伝子の発見/ヒトも同じ時計の遺伝子をもっている/ヒトの時計遺伝子はどこに存在するか/時計遺伝子の種類とその周期/おわりに

脳・脊髄はなぜ再生しないのか―再生阻害の分子機構と創薬への応用―……97
大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学 山下 俊英
脳の構造と働き/脳は場所によって機能を分担している/脳の機能分担と脳地図/脳が障害されると、なぜ手足が動かなくなるのか/軸索が切れても手足は動かなくなる/脳の障害される部位によって症状がきまる/神経変性疾患とは/脊髄損傷でも手足が動かなくなる/脳血管障害、神経変性疾患、脊髄損傷は治療可能か/神経細胞によるネットワークの構築/神経回路の再構成と機能回復/末梢神経は再生する/軸索の再生を阻害する物質の発見/脊髄損傷による運動機能障害を薬剤で治療する/脊髄のなかに新しい軸索が伸びてくる

脳研究に応用される遺伝子改変動物の作り方―マウスの行動から脳の機能を探る―……125
広島大学自然科学研究支援開発センター生命科学実験部門動物実験部 外丸 祐介
遺伝子改変動物とは/遺伝子改変マウスの作り方/トランスジェニックマウスの作り方/ノックアウトマウスの作り方/クローン技術の応用/遺伝子改変動物はなぜ重要なのか