文化財の保存と修復 15−日本における「西洋画」の保存修復
特別講演

西洋壁画の保存修復
 国立西洋美術館長、ギリシャ・ローマ考古学者 青柳 正規
モノ資料としての有形文化財/私たちの生きる目的/イタリアの保存修復体制
保存よりも修復/タルクィニアの墓室墓/タルクィニアの墓室墓の保存修復
ポンペイ壁画の保存修復/おわりに


基調講演

近代日本の油彩画技術
 東京藝術大学名誉教授 歌田 眞介
日本の西洋画の変遷/溶き油の使用法から見た西洋画の変遷/西洋画の立体感表現法
日本の西洋画に見る遠近法/油絵の質感表現/高橋由一の特徴/百武兼行と川村清雄
黒田清輝と裸体画/明治後半の群像表現/梅原龍三郎と西洋画の溶剤
岸田劉生と高橋由一の溶剤/昭和初期の油絵

日本の「西洋画」修復
 山領絵画修復工房 山領 まり
「西洋画士」の保存指南(図1)/第二次大戦後の保存修復/表現と材料(図2)
油彩画の構造(図3)/日本の気候のなかで/ワックス裏打ち(図4)/支持体の補強方法の転換
画面表層に残されたワックス樹脂混合接着剤と結晶様析出物(図5)
初期洋画、荒木如元作品の修復(図6)/これからの修復の仕事

文化財保存の教育とその問題点
 東京藝術大学大学院文化財保存学専攻保存修復油画研究室 木島 隆康
本研究室の人材育成の現状/本研究室のカリキュラム/具体的なカリキュラム紹介
研究室の活動/課題

美術館における保存修復
 神奈川県立近代美術館専門研究員(保存修復担当) 伊藤 由美

「現代美術」の保存修復
 兵庫県立美術館企画・学芸部門 保存・修復グループ主査学芸員 相澤 邦彦
「現代美術」の特性と保存修復/現代美術作品の多様性への対応1/作品例
現代美術作品の多様性への対応2


パネルディスカッション

西洋画の保存修復を考える
 コーディネーター 村上 隆
絵画の保存は保存修復の世界では特殊扱い/油絵の制作技術、保存技術をどう継承するか
修理・修復は他分野の専門家との協同作業/現代美術の保存体制の構築は急務
油絵の保存修復技法の公開を/美術館1館に1人の保存修理の専門職ポストを 
作品ごとに展示環境の設定を/絵画の新しい展示法の工夫を
文化財保存に携わる人のための行動規範/修理報告書作成の徹底
保存修復は美術館・博物館の最大の業務