ブレインサイエンス・レビュー2015
はじめに
(公財)ブレインサイエンス振興財団 理事長 廣川 信隆 3


iPS細胞を用いたパーキンソン病の病態解析
北里大学医療衛生学部免疫学 太田 悦朗 15
はじめに
1. パーキンソン病の原因遺伝子LRRK2
2. LRRK2の基質分子および相互作用分子
3. LRRK2のキナーゼ活性
4. LRRK2の過剰発現細胞と遺伝子改変動物
5. 免疫系におけるLRRK2の役割
6. LRRK2変異を持つ患者のiPS細胞(LRRK2-iPSCs)
7. I2020T変異LRRK2-iPSCs(I2020T-iPSCs)の樹立
8. I2020T-iPSCs由来神経細胞を用いた病態解析
9. 今後の展望
おわりに


脳情報デコーディング
国際電気通信基礎技術研究所・脳情報研究所 神谷 之康 35
はじめに
1. デコーディングの方法
2. 視覚情報のデコーディング
3. 視覚像再構成
4. 主観情報のデコーディング
5. 夢内容のデコーディング
6. 脳情報デコーディングの応用と倫理


神経変性疾患関連たんぱく質TDP-43の断片化機構とその生理的意義
大阪大学大学院医学系研究科神経遺伝子学教室 河原 行郎 57
はじめに
1. TDP-43の断片化パターンと切断点の解析
2. TDP-43のクリアランスは、D174での切断によって開始される
3. CTFの不溶化・リン酸化は、TDP-43代謝の最終段階で生じる
4. 一過性過剰量のTDP-43による細胞死は、CTFの不溶化前から生じる
5. TDP-43の初期切断を触媒する責任酵素は、カスパーゼ4である
6. 考察と今後の展望


新規運動ニューロン病遺伝子TFGの機能解析
徳島大学大学院HBS感覚情報医学講座臨床神経科学分野 瓦井 俊孝 79
はじめに
方 法
1)遺伝子型-表現型の確立、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)において
2)変異の機能解析
3)トランスジェニックマウスの作製
結 果
1)ALS発症に関連する変異を同定
2)変異TFGによりALS関連たんぱく質の局在が変化する
3)トランスジェニックマウスの誕生
考 察
まとめ


高速・高分解能ブレインイメージングに向けた技術革新
東京大学大学院理学系研究科
中川 桂一、小林 博文、于  原駿
脇坂 佳史、野沢 泰佑、合田 圭介 91
はじめに
1. 脳イメージングと神経イメージングにおける従来技術の限界
1-1 脳イメージング
1-2 神経イメージング
2. Serial Time-Encoded Amplified Microscopy(STEAM)
2-1 STEAMの原理
2-2 STEAMによるレーザーアブレーションの超高速観察
2-3 STEAMフローサイトメーター
おわりに


恒常的なシナプス強度可塑性の時空間制御メカニズム
理化学研究所脳科学総合研究センター 合田 裕紀子 109
はじめに
1. シナプス伝達とシナプス強度の可塑性
2. 軸索内近隣シナプスにおいてのシナプス小胞の共有
3. 個別のシナプス前終末強度の設定
4. 逆行的シナプス前部強度制御の分子機構
5. 今後の進展


抗うつ作用を担う海馬神経可塑性の解析
日本医科大学大学院医学研究科薬理学分野 小林 克典 125
はじめに
1. 海馬歯状回と抗うつ薬
2. モノアミンによる苔状線維シナプス伝達の修飾
3. モノアミンによるシナプス修飾に対する抗うつ薬の効果
4. 抗うつ薬による歯状回神経細胞の脱成熟
5. 顆粒細胞の入力シナプスに対する抗うつ薬の効果
6. 歯状回−CA3神経回路に対する抗うつ薬の効果
7. 歯状回の変化と行動との関係
8. 不安・気分障害モデルマウスにおける脱成熟の促進
9. 神経新生か脱成熟か
おわりに


神経回路形成における軸索ガイダンス分子の役割
金沢大学医薬保健研究域医学系・脳細胞遺伝子学研究分野 新明 洋平 145
はじめに
1. 軸索ガイダンスの基本メカニズム 
1-1 軸索ガイダンス分子
1-2 脊髄交連神経の軸索ガイダンス機構
1-3 新規軸索ガイダンス分子Draxinの発見
2. 脳梁神経の軸索ガイダンス機構 
2-1 脳梁形成にかかわる軸索ガイダンス分子の役割
2-2 脳梁形成におけるDraxinの役割
3. 視床皮質神経の軸索ガイダンス機構
3-1 視床皮質軸索投射にかかわる軸索ガイダンス分子の役割
3-2 視床皮質軸索投射におけるDraxinの役割
おわりに 


右利きと左利きの脳内制御機構
富山大学大学院医学薬学研究部(医学)解剖学講座 竹内 勇一 165
はじめに−非モデル動物から切り開く生命科学の可能性−
1. さまざまな動物の右利きと左利き
2. 行動の左右性の至近要因
3. 鱗食魚における左右性の発達過程
3-1 食性の変遷
3-2 口部形態の左右差の発達
3-3 捕食行動の左右性の発達
3-4 適応的な左右二型
4. 左右性行動の神経機構の解明
4-1 鱗食魚の捕食行動のハイスピード撮影
4-2 捕食行動の運動上の左右差
4-3 鱗食と逃避の屈曲運動の比較
4-4 左右非対称な屈曲運動を生み出す神経基盤


シナプス内シグナル分子動態イメージング
自然科学研究機構 生理学研究所 村越 秀治 191
はじめに
1. シナプスの形態的可塑性と長期増強
2. 2pFLIMによる組織内のシナプス内分子活性化イメージング
2-1 2光子励起法
2-2 時間相関単一光子計数法による2光子蛍光寿命イメージング法(2pFLIM)
3. 2pFLIMによるRho GTPase FRETバイオセンサー活性化イメージング
3-1 Cdc42とRhoAの活性をモニターするためのFRETセンサーの開発
3-2 NMDA刺激によるCdc42/RhoAの活性化イメージングとFRETセンサーの妥当性
3-3 スパイン形態変化時のRho GTPase活性化イメージング
3-4 光活性型GFPを用いたRho GTPaseスパイン内滞在時間の測定
3-5 スパイン可塑的変化誘起時のCdc42とRhoAの機能的役割
おわりに


体内時計が生み出す約24時間周期のリズムとその原理
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 吉種 光 211
はじめに
1. 転写翻訳フィードバックループ
2. 時計たんぱく質の翻訳後修飾
2-1 PERたんぱく質の翻訳後修飾
2-2 CRYたんぱく質の翻訳後修飾
2-3 CLOCKたんぱく質の翻訳後修飾
2-4 BMAL1たんぱく質の翻訳後修飾
3. 時計キナーゼJNK
4. カルシウム、CaMK・シグナルと時計
5. 超並列シーケンサーを駆使したリズム解析
5-1 CLOCKがリズミックに結合するゲノム領域の決定
5-2 転写因子のDNA結合モチーフを決定する新技術MOCCS
5-3 CLOCKのDNA結合リズムが生み出す遺伝子発現リズム


マウスモデルの解析を中心とした脊髄小脳変性症6型の病態解明
東京医科歯科大学脳統合機能研究センター 渡瀬 啓 233
はじめに
1. 脊髄小脳変性症6型(SCA6)の遺伝学的・病理学的特徴
2. チャネル病なのかポリグルタミン病なのか
3. SCA6ノックインマウスモデルの作製
4. KIマウスマウスプルキンエ細胞の電気生理学的解析
5. 典型的なプルキンエ細胞変性を発症するノックインマウスモデル
6. SCA6の病態におけるリソソームの関与
7. α1ACT転写因子説
8. Cav2.1インターラクトーム異常の病態への関与の解明
1)RIM結合たんぱく質(RIM-BP)
2)カルモジュリン(CaM)
おわりに