第17回「大学と科学」金属元素が拓く21世紀の新しい化学の世界
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Aセッション●有機物でも無機物でもない第3の物質―金属錯体の優れた働き さまざまな金属錯体の働きと金属錯体の化学研究の必要性 東北大学 伊藤 翼 金属錯体とは/さまざまな金属錯体とその働き/金属錯体の化学研究が目指すところ 金属錯体―未来への可能性 早稲田大学 松本 和子 白金ブルーの特徴/白金(Ⅱ)錯体と白金(Ⅳ)錯体の特徴/白金(Ⅲ)錯体の特徴 白金錯体の応用/希土類の蛍光錯体の特徴/希土類蛍光錯体のバイオプローブ応用 これからの錯体化学 Bセッション●特別講演 体の中での金属元素のはたらき 京都薬科大学 桜井 弘 ミネラルとはなにか/金属元素は有害か/必須微量元素の発見の歴史 生命維持に、なぜ多種類の金属元素が必須か/人類が金属を発明してきた歴史 なぜ私たちは微量の金属で十分なのか/体内に含まれる金属イオン 歴史にみる病気治療の理念の変遷と薬剤/金属元素を使った化学療法の確立 金を使った薬剤/わが国で使用されている白金製剤/胃潰瘍薬 酵素作用をまねた化合物:エブセレン/糖尿病の分類と治療法 1 型糖尿病の治療薬の開発/経口投与で有効なインスリン様バナジウム錯体/ Cセッション●金属錯体が生み出す新しい磁石 磁石を金属錯体でつくる 九州大学 大川 尚士 はじめに/初期の磁性体設計研究/金属錯体磁性系の設計原理 ネットワークの次元性と磁気特性/どうして3 次元ネットワークの磁性体をつくるか 第2 世代分子磁性系の研究/加圧によるメタ磁性/フェロ磁性変換/磁気光学効果 分子1個で磁石 筑波大学 大塩 寛紀 磁石と人間/磁石とは/分子で磁石をつくるには/分子中のスピンをそろえる 単分子磁石の性質/まとめ 光で磁石をつくる 東京大学 橋本 和仁 はじめに:なぜ、光と磁性材料か/光磁石の設計に向けて 金属酸化物磁石と金属錯体磁石/金属錯体の設計例(NaxCoyFe(CN)6・zH2O) 双安定性と配位子場/金属錯体における磁気モーメントの温度依存性 光誘起相転移過程/構造柔軟性を求めて/新しい光磁性体の設計/おわりに 光とスピンの演ずる物質とは 光とスピンの演ずる物質とは 東京大学 小島 憲道 スピンクロスオーバー錯体の光誘起相転移 光誘起スピンクロスオーバー転移を示す金属錯体の開発 光誘起による長寿命高スピン状態の発現 1 次元スピンクロスオーバー錯体の構造とスピン転移 ナフィオンを用いた高次機能スピンクロスオーバー錯体膜の開発 混合原子価錯体/電荷移動相転移のメカニズム/ 2 次元集積型金属錯体への期待 Dセッション●21世紀は光の時代―錯体がささえる世界 光で機能する物質―高分子と錯体 東京工業大学 山本 隆一 はじめに:π高分子の導電性/π共役高分子金属錯体のエレクトロクロミズム π共役高分子配位子とその金属錯体の合成/π共役高分子集積型錯体の合成 π共役高分子金属錯体の物性と機能/π共役高分子金属錯体の利用 エレクトロクロミズムの応用/高度光通信用材料/おわりに 光を加工する―非線形光学素子の開発に向けて 光を加工する―非線形光学素子の開発に向けて 東京都立大学 山下 正廣 非線形光学素子の開発指針/無機物と有機物による非線形光学材料の開発 バンド絶縁体とパイエルス絶縁体とモット絶縁体 強相関電子系ハロゲン架橋ニッケル(Ⅲ)錯体の合成/ 1 次元系での励起状態 巨大な3 次非線形光学効果を示した原因 さらに巨大な3 次非線形光学効果を求めて/MMX型錯体の電子状態 [(C2H5)2NH2]4 [Pt2 (pop)4 I]の合成 [(C2H5)2NH2]4 [Pt2 (pop)4 I]の光誘起相転移/今後の展開 光に応える 近畿大学 宗像 惠 はじめに/ヴァイゲルト効果を利用した光スイッチング ビスチエニルエテン系化合物のフォトクロミズム ビスチエニルエテンを金属錯体にする意義/フォトクロミック銅(Ⅰ)錯体の合成 フォトクロミック1 次元銀(Ⅰ)錯体の合成 フォトクロミック2 次元銀(Ⅰ)錯体の合成/光スイッチング磁性錯体合成への挑戦 光誘導分子とりこみ錯体の合成/まとめ Eセッション●ナノサイズで機能をうみだす ナノサイズの空間を持つ錯体の驚異 京都大学 北川 進 配位高分子結晶/ナノサイズの空間/表面積効果/ナノ空間の構築 革新的なナノ孔物質-配位高分子/メタン吸蔵物質の開発 錯体でしかできない新しい機能・材料を求めて 柔軟で水素結合能をもつピラーを用いる/コバルト錯体で柔軟な層構造をつくる ゲスト分子に対応する新しい多孔性錯体結晶/おわりに ひとりでに組み上がる分子 東京大学 藤田 誠 自己組織化/自己組織化の駆動力/カテナンの自己組織化 配位結合カプセルの自己組織化/六面体のカプセル構造の自己組織化 ナノチューブ構造の自己組織化/球状組織体の構築 孤立ナノ空間における新反応/さらなる新現象に向けて/おわりに 水素の科学を担うナノ錯体 水素の科学を担うナノ錯体 九州大学 北川 宏 水素科学に基盤をおいた材料開発/水素吸蔵金属の特徴/化学吸着型水素吸蔵錯体 プロトン共役酸化還元特性/水素吸蔵錯体における水素の吸着状態 水素ドーピングによる金属化のメカニズム/プロトン伝導度の相対湿度依存性 ポリマーコート型金属ナノ粒子/むすび 生命の色素クロロフィルが演じるナノサイエンス 生命の色素クロロフィルが演じるナノサイエンス 東京都立大学 杉浦 健一 無機化学の楽しみ/金属は色素として古くから使われてきた 生命をつかさどる根源的な物質とは/基本骨格:ポルフィリン ヘムが体内で合成される過程・その1 /ヘムが体内で合成される過程・その2 ナノサイエンス/まとめ Fセッション●特別講演 21世紀の超伝導物質―MgB2 青山学院大学 秋光 純 物理学と化学の接近/超伝導とはなんだろう/ BCS 理論 BCS 理論による超伝導転移温度の壁/酸化物超伝導体/強相関電子の活用 秋光研究室超伝導体発見の歴史/ 2 次元CuO2 面をもたない超伝導体の探索 金属系超伝導体の探索/ MgB2 の構造/ MgB2 の対称性/ MgB2 の応用 おわりに Gセッション●ナノテクノロジーと錯体 錯体分子の持つ論理・演算・記憶機能 中央大学 芳賀 正明 はじめに/情報変換におけるシリコン半導体と生体素子との比較 錯体を利用した分子ワイヤー/コネクタ:固体表面への接続 錯体分子のスイッチング機能/ pH 変化を外部信号とするプロトンゲート錯体 錯体分子での論理ゲート/分子メモリとしての提案例 分子セルラーオートマトン/まとめ 錯体から分子デバイスへ 東京大学 西原 寛 金属錯体系の分子素子材料/フェロセンの特徴/フェロセンの混合原子価特性 フォトクロミック錯体/レドックスによる光異性化の制御 多重機能をもつフォトクロミック錯体界面配列体の構築 ドナーアクセプター共役接合分子/まとめ 金属錯体から超伝導へ 理化学研究所 加藤 礼三 金属錯体系超伝導体/分子性導体の構成/分子性導体の特徴/ 2 次元伝導体 Pd(dmit)2 塩の電子構造/異方的圧力効果/まとめ |