第18回「大学と科学」微生物はなぜ病気を起こすか−ゲノムの特徴−
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目 次 A セッション●病原微生物のゲノム解析の意義と方法 感染症― 過去・現在・未来 実践女子大学生活科学部教授 竹田 美文 感染症(伝染病)とは/病原微生物の感染経路/伝染病予防法/明治・大正時代の感染症/赤痢の流行状況について/ペニシリンの発見と感染症/抗生物質の功績と罪/新興感染症の出現/ 21 世紀における感染症研究 ゲノム解析の必要性 山口大学名誉教授 中澤 晶子 病原性の研究/全ゲノム配列決定の現状/病原微生物ゲノムの構造/病原微生物ゲノムの進化― 水平伝達/病原性の研究― ヘリコバクター・ピロリを例に/病原遺伝子の発現調節 微生物ゲノムシークエンス決定法 北里大学北里生命科学研究所教授 服部 正平 ゲノム配列決定の流れ/鋳型DNA の超高速調製と決定速度の変遷/自動シークエンサーの進歩/配列精度の数値化/長いDNA のシークエンス戦略/ひとつの鋳型DNA を2 方向から読む/ミスアセンブリを起こす要因/ゲノムシークエンシングの高速化に向けて/ゲノム研究からみた微生物研究の世界動向 遺伝子名とその機能を検索・決定する方法 大阪大学微生物病研究所助手 黒川 顕 ゲノム配列の決定から遺伝子解読へ/バイオインフォマティクスとは/ゲノム配列から遺伝子の探索/遺伝子同定(アノテーション)の方法/既知遺伝子との比較/生物種間でゲノムを比較/配列のもつパターンから遺伝子を予測する方法/隠れマルコフモデルによる遺伝子領域予測/確率モデルの欠点/領域決定から機能解析へ/遺伝子の同定/遺伝子アノテーション作業の課題 B セッション●病原細菌のゲノムの特徴 下痢・腸炎を起こす大腸菌― O157 のゲノム解析からみえてきたこと 宮崎医科大学フロンティア科学実験総合センター教授 林 哲也 病原性大腸菌とは/腸管出血性大腸菌O157 と感染症/ O157 による発症機序/O157 のゲノム解析/ O157 の病原性遺伝子/どのようにしてO157 は誕生したか/ファージが病原遺伝子を運ぶ/たくさんのファージをO157 はどのように獲得したか/病原菌の進化/今後の展開― 全ゲノム情報の利用/まとめ 化膿性疾患をおこすグラム陽性球菌 中国学園大学現代生活学部教授 林 英生 「化膿」の病態/グラム陽性球菌/黄色ブドウ球菌の病原因子/黄色ブドウ球菌のゲノム構造/黄色ブドウ球菌株の比較ゲノム/病原因子産生の発現調節ネットワーク/ A 群溶血性レンサ球菌の病原性/A 群溶血性レンサ球菌のゲノム構造/染色体遺伝子の配列転移― ファージによるモデル/細菌の病原遺伝子は可動的/診断・治療・予防への応用 コレラ、食中毒をおこすビブリオ 大阪大学微生物病研究所助教授 飯田 哲也 ビブリオとは/コレラ菌の特徴/コレラ菌が激しい下痢を起こすメカニズム/コレラ菌のゲノム配列の特徴/腸炎ビブリオの特徴/新型腸炎ビブリオの出現/腸炎ビブリオのゲノム解析/ 3 型タンパク分泌装置/ビブリオのゲノムの特徴 クロストリジウム 金沢大学大学院医学系研究科助教授 清水 徹 クロストリジウム属とは/ボツリヌス菌と破傷風菌/ディフィシル菌とウェルシュ菌/病原性クロストリジウムのゲノム比較/ゲノムからみたクロストリジウム属菌の違い/病原遺伝子群からみたウェルシュ菌の特徴/ウェルシュ菌の病原性と適応戦略 好気性芽胞形成桿菌 名古屋大学医学系研究科教授 太田美智男 天然の微生物は体によいか/好気性芽胞形成桿菌とヒトとのかかわり/炭疽菌/セレウス菌の感染経路/嘔吐型セレウス菌による食中毒例/セレウス菌による食中毒の病原因子/セレウリドの検出法/突然死の一部はセレウス菌の食中毒による/バチルス属細菌のゲノム解析/今後期待される成果 細胞内寄生性細菌、肺炎クラミジアの病原性とゲノム 山口大学医学部教授 白井 睦訓 クラミジアの分類と病気/肺炎クラミジアと動脈硬化/肺炎クラミジアのゲノム/クラミジアのゲノムから予想される病原性因子/肺炎クラミジアのゲノムの特徴/クラミジアのゲノムの進化/クラミジアに特異的なタンパク質とその機能/その他−展開的研究/展望 C セッション●細菌、ウイルス、真菌の比較 ウイルスの生物学と病原性/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授 山本 直樹/ウイルスの発見/ SARS ウイルスの特徴/ SARS 発症の謎/HIV によるエイズの発症機序/ヒトを狂わすウイルス、プリオン/プリオン病/ヒトとウイルスのおつきあい/ウイルスは敵か味方か/ヒトは万物の霊長か? 真菌の生物学と病原性 帝京大学医真菌研究センター教授・所長 山口 英世 真菌はどんな生き物か:形態学・細胞学的特徴/真菌の遺伝子システムの特徴/真菌ゲノムの特徴と解析の現状/真菌感染症(真菌症)/真菌症とその研究の歴史1 ― 白癬―/足白癬(ミズムシ)の発生状況/真菌症とその研究の歴史2 ― 深在性真菌症―/真菌の病原性/病原真菌のゲノムプロジェクトとこれからの医真菌学 細菌ゲノムが語る普遍性と多様性 JT 生命誌研究館常勤顧問 吉川 寛 はじめに/ゲノム構造と働きの普遍性/枯草菌細胞の全体像に迫る/真正細菌ゲノムのサイズ分布/細胞とはなにか、に答えられるか/細菌ゲノムの特徴と最小ゲノムセットの概念/パラログ遺伝子/ウェルシュ菌のゲノム解析/水平伝達による大腸菌O157 の誕生 D セッション●ゲノム配列の利用と展開 DNA マイクロアレイの利用 金沢大学大学院医学系研究科助教授 清水 徹 DNA マクロアレイとは/マクロアレイ実験の原理/ウェルシュ菌のマクロアレイ実験/ウェルシュ菌病原性遺伝子の発現調節/ VirR / VirS レギュロンの機能分類/病原性と適応戦略に対するVirR / VirS の役割 病原性の質と強さを見る 大阪大学大学院医学系研究科助教授 戸邉 亨 病原性とは/生体防御と細菌病原性/細菌の病原因子/病原性大腸菌/病原性の試験法/腸管病原性大腸菌の付着様式の段階的変化/標的宿主・組織をどのように識別するか/病原性解明に向けたゲノム解析/ゲノム解析から病原性解明へ向けて ゲノムタイピングによる「とびひ」の疫学 広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授 菅井 基行 とびひとその原因毒素/表皮剥脱毒素による水泡の形成機序/ ET 遺伝子の侵入形態/ET 遺伝子はほんとうに動くのか/分子疫学解析’99/黄色ブドウ球菌臨床分離株の全国調査/ ET 遺伝子の伝播経路 ゲノム情報を使った感染症の網羅的診断法 岐阜大学大学院医学研究科教授 江崎 孝行 感染症の診断と病原細菌の同定/感染症診断法の問題点/階級に応じた細菌の同定/病原細菌の同定法/ DNA 増幅キットの開発/病原体遺伝子の抽出法/尿道炎の病原菌の同定/新しいシステムの構築/常在菌を固定したマクロアレイの利用 プロバイオティクスへの応用 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部教授 大西 克成 プロバイオティクスとは/常在細菌叢と腸内菌叢/オリゴ糖の役割/腸内菌の生理機能/腸内菌叢の検出と分布/プレバイオティクスの例/ラットの糞便内容物の菌叢分布/大腸がんの予防/β-カロテン産生米の開発/まとめ |