第18回「大学と科学」科学が解き明かす古代の歴史−新世紀の考古科学−
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A セッション●基調講演 考古科学研究の最新成果─ 横断型研究の視点─ 筑波大学芸術学系教授 沢田 正昭 はじめに/考古科学研究小史/研究拠点づくり/拠点4 分野の構築/遺跡探査/環境考古/年代測定/保存科学 B セッション●遺跡の科学 掘らずに探る地下遺跡─ 最近の探査成果と方法─ (財)ユネスコ・アジア文化センター文化遺産保護協力事務所研修事業部長 西村 康 遺跡調査で文化財探査のはたす役割/地中レーダー探査の方法/地中レーダー探査の「断面」/平面図の作成例/吉野ヶ里遺跡の地中レーダー探査/筑後国府跡の探査/下高橋官衙遺跡の探査/探査法による違い/おわりに 古墳の中を探る 九州大学大学院工学研究院教授 牛島 恵輔 はじめに/平面(水平)電気探査法/平面電気探査の事例(大宰府水城跡)/水城跡の水平探査/垂直電気探査の事例(岩原双子塚古墳)/ 3 次元イメージング/岩原双子塚古墳の探査事例/岩戸山古墳の探査事例/まとめ C セッション●古代環境の科学 骨を切る・削る・磨く─ 傷痕からみた古代人の行動─ (独)奈良文化財研究所埋蔵文化財センター遺物調査技術研究室長 松井 章 はじめに/居徳遺跡の人骨にみられる貫通痕/骨鏃による貫通痕の特徴/石鏃による貫通痕の特徴/金属器による傷痕の特徴/傷から古代の埋葬を推察/骨角器としての使用痕/鉄器の使用はいつから始まったか/鋸による加工痕/まとめ トイレ遺構から探る食生活 奈良教育大学教育学部助教授 金原 正明 (株)古環境研究所主任研究官金原 正子 寄生虫と宿主/便所の形態と寄生虫/藤原京の寄生虫卵分析/藤原京跡と鴻臚館の寄生虫卵分析/ヒトとイヌの糞石の分析/便所跡から食性を復元/便所跡の花粉分析/鴻臚館の種子分析/秋田城跡水洗式便所跡/便所跡の分析で季節を復元 骨からみた弥生人の戦い 九州大学大学院比較社会文化研究院教授 中橋 孝博 はじめに/縄文人骨にみられる戦傷例/居徳遺跡出土の損傷人骨/利器不明の鋭利な傷/戦争?それとも食人の痕跡か?/北部九州の弥生人骨にみられる損傷痕/弥生時代中期の状況/隅・西小田遺跡出土人骨の戦傷例/鎌倉材木座出土の中世人骨にみられる戦傷例/隅・西小田遺跡の犠牲者数・人口規模/隅・西小田遺跡における男女の構成比/戦いの変化/戦争と地域社会の組織化・階層化 D セッション●年代の科学 考古学からみた弥生時代の始まり 九州大学名誉教授 西谷 正 はじめに/土器の型式編年による検証/鉄器による検証/朝鮮半島における鉄器の出現期/朝鮮半島の青銅器文化 科学的年代測定法はどこまで進んだか 国立歴史民俗博物館情報資料研究部教授 今村 峯雄 はじめに/科学的年代測定法とその対象/汎用性が高い14C 法/ 14C 法とは/AMS 法について/暦年較正データベース/地表における14C 濃度の均一性/「実年代」を求める/年代を測るということ/試料の処理手順/弥生時代の開始年代/歴史時代の検証 年輪から弥生、古墳の年代に迫る (独)奈良文化財研究所埋蔵文化財センター古環境研究室長 光谷 拓実 推定年代から暦年代へ/わが国における適用樹種の発見と暦年標準パターンの作成/奈良県内に所在する前期古墳の年輪年代/纒向石塚古墳出土板材の年輪年代/勝山古墳出土板材の年輪年代/青谷上寺地遺跡出土板材の年輪年/大藪遺跡出土柱根の年輪年代/二ノ畦・横枕遺跡出土井戸枠材の年輪年代/池上曽根遺跡出土柱根の年輪年代/武庫庄遺跡出土柱根の年輪年代 E セッション●遺物の科学 九州大学総合研究博物館教授 岩永 省三 鉛同位体比研究と考古学/鉛同位体比法から判明すること/馬渕・平尾説の問題点 シルクロードの銅材料 別府大学文学部教授 平尾 良光 ケンブリッジ大学研究員 梅 建軍 (独)東京文化財研究所 榎本 淳子 はじめに/古代の銅・青銅材料の生産地/鉛同位体とは/地球の誕生から鉛鉱山の形成/東アジア産の鉛同位体比の分布/天山山脈領域の設定/アフガニスタン出土の青銅器分/まとめ 木質文化財を科学する (独)奈良文化財研究所埋蔵文化財センター主任研究官 高妻 洋成 はじめに/どれだけ傷んでいるかを知る/木質文化財から歴史的な情報を引きだす/おわりに 沈没船から漆器まで─ 木質遺物の保存法を科学する─ 奈良県立橿原考古学研究所総括研究員・保存科学研究室長 今津 節生 出土木材の保存の必須条件/出土木材の保存方法/糖類による保存/糖アルコール保存法を使った遺物の保存/さまざまな木製品の保存/文字や彩色の保存/保存処理の適用範囲と課題/中国泗水王墓出土遺物の保存と課題 F セッション●装身具の科学 古代のガラス─ 最近の研究から─ (独)奈良文化財研究所埋蔵文化財センター保存修復科学研究室長 肥塚 隆保 はじめに/古代ガラスの変遷/ X 線を用いた材質の調査/遺物自体が発する放射線強度に着目/古代ガラスのなかから発見された人工鉱物/ファイアンス玉?/まとめ 古代の金・銀 (独)奈良文化財研究所主任研究官 村上 隆 金工技術とは/日本は「黄金の国」だったのか/金をめぐる古代のハイテク/金色の表面を得る鍍金技術/「金銅」─ 金アマルガム法による鍍金の作業工程─/「耳環」の製作技術を探る/飛鳥池遺跡の出土品が語ること/まとめ 古代の織物・漆・琥珀 (独)奈良文化財研究所客員研究員 佐藤 昌憲 はじめに/古代織物の天然繊維素材/織物分析/正倉院にみる繊維遺物/奈良県下池山古墳出土の織物/古代染料の分析/今後の研究課題の一例/漆(漆塗り製品)/琥珀/有機質遺物の科学的研究が目指すもの 古代の顔料 宮内庁正倉院事務所保存課保存科学室長 成瀬 正和 はじめに/顔料の分類/わが国における顔料の変遷/先土器時代の顔料/縄文時代の顔料/弥生・古墳時代の顔料/装飾古墳の顔料/飛鳥・白鳳時代の顔料/正倉院における顔料の調査/正倉院の白色顔料/正倉院の赤色顔料/正倉院の黄色顔料/正倉院の緑色顔料/正倉院の青色顔料/正倉院のそのほかの顔料/正倉院における今後の顔料研究 |