第19回「大学と科学」人類の歴史を護れ−戦中、戦後における文化遺産の保護と国際協力−
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A セッション●イラク、アフガニスタンの文化遺産 イラク戦争後の文化遺産の現状とその対応 国士舘大学イラク古代文化研究所所長 松本 健 イラク戦争前後/戦争直後のユネスコの動き/終戦直後の実態調査/図書館・大学の状況/考古遺跡の実態/軍事基地になった遺跡/日本の対応/これからのイラク文化遺産の復興 アフガニスタンの文化遺産の現状と保存修復協力 (独)文化財研究所東京文化財研究所国際文化財保存修復協力センター室長 山内 和也 バーミヤーン遺跡の現状/アフガニスタン文化遺産保存・修復協力への動き/バーミヤーン遺跡の保存修復協力事業/バーミヤーン遺跡保存事業― ユネスコ文化遺産保存日本信託基金―/バーミヤーン遺跡の地下探査/文化的景観の保護のためのゾーニング/仏教壁画の構成材料の分析/バーミヤーン仏教壁画の放射性炭素年代測定/人材育成・技術移転事業/国際会議、国際シンポジウムの開催/今後の課題 B セッション●戦後復興と文化遺産(1) 国際協力と治安回復― アフガニスタンの試みから 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授/国士舘大学21世紀アジア学部客員教授伊勢崎賢治 はじめに/ターリバーン戦をめぐるアフガニスタン/治安分野改革の構造/DDR をめぐる流れ/DDRをめぐる流れ……その2/DDRへ向けた治安維持装置の現状/新しい国軍の創設に向けて/武装解除の現状/日本にとっての課題/おわりに カンボジアの文化復興と文化遺産 上智大学アジア人材養成研究センター所長・外国語学部教授 石澤 良昭 1.カンボジア人はアンコール遺跡を「石の家」と呼ぶ 2.カンボジアの文化遺産は誰が責任をもつのか 3.1908年のアンコール・ワットの原風景を求めて 4.カンボジア人の美意識に立脚した文化遺産 5.国際協力の哲学は「カンボジア人による、カンボジア人のための、カンボジアの文化遺産保存修復」 6.カンボジア人学位取得者の就職状況 7.幸運にも世紀の大発見― カンボジアの歴史を塗り替える発掘 8.結論として― 国境のない強固な信頼関係の構築 ヴェトナムの文化復興と文化遺産 日本大学理工学部助教授 重枝 豊 ヴェトナムの戦後とは/ヴェトナムの時代区分/戦争の影響をうけた文化遺産/ヴェトナムの戦後の文化遺産の状況/日本の文化遺産の修復活動/現在のヴェトナムの宗教/これからの文化復興と文化遺産/バーディエン遺跡 C セッション●戦後復興と文化遺産(2) 印・パ紛争と文化遺産 立教大学名誉教授/インド国立高等学術研究所員 小西 正捷/はじめに/インダス文明の発見と独立運動/国境に引き裂かれた同一文化/競い合うインド・パキスタンの発掘姿勢/カシュミールの帰属と国境線/カシュミールの先史時代/カシュミールの文化/カシュミール地方の文化史瞥見/ヒンドゥー・イスラームの過激なコミュナリズム メソアメリカ地域の紛争と文化遺産 京都外国語大学外国語学部教授 大井 邦明 はじめに/放置されてきた遺跡/教会と大農園の建築美術/エル・サルバドルとグァテマラの事例/収集家と盗掘・密売/おわりに 高句麗古墳保存の現状と課題 (株)文化財保存計画協会代表取締役/駒澤大学文学部非常勤講師 矢野 和之 はじめに/高句麗古墳群の建築図像の特徴/高句麗古墳群保存の課題/壁画保存上の課題/高句麗古墳群における壁画保存の現状/修復・復元の課題/壁画の現状/おわりに D セッション●国際機関、組織の役割 戦時下の文化財保護に関する国際法と条約 九州大学法学研究院教授 河野 俊行 1.はじめに/ 2.『陸戦ノ法規慣例ニ関する条約(ハーグ陸戦法規)』/3.『武力紛争の際の文化財の保護のための条約』/ 4.同条約第一議定書/5.第二議定書/ 6.そのほかの条約、ソフトロー/ 7.わが国がなすべきこと ユネスコの役割と日本の貢献 学習院女子大学大学院教授/(独)文化財研究所客員研究員 野口 英雄 戦争と遺産保護/ユネスコの役割/遺産保護の国際条約/『可動文化遺産保護条約』/日本の貢献/世界遺産の戦争・紛争破壊と復興の例/世界恒久平和のシンボル 「武力紛争の際の文化財の保護のための条約」と日本 筑波大学大学院人間総合科学研究科教授 斎藤 英俊 文化保護に関する国際条約と日本/『ハーグ条約』と日本のかかわり/日本のユネスコ加盟以前のユネスコにおける議論/日本のユネスコ加盟後の進展/条約採択のための国際会議/『ハーグ条約』と朝鮮戦争/条約採択後の日本政府の動き/「特別保護」と京都・奈良の保護計画/『ハーグ条約』批准にいたらなかった4つの理由/条約の見直しと第二議定書/『ハーグ条約』を批准する意義 国際機関、国際NGO の連携と日本の役割 (独)文化財研究所東京文化財研究所国際文化財保存修復協力センター室長 稲葉 信子 神戸の地震から10年/何を学んできたか、何をしてきたか/文化遺産の危機管理とは/阪神・淡路大震災の教訓はスマトラ沖大地震に活かされたか/復旧時に求められる歴史的景観、文化的な資源への配慮/ブルーシールド国際委員会/ブルーシールド国際委員会の将来と課題 E セッション●日本の現状と問題点 日本の戦中、戦後復興時の文化財保護 九州国立博物館館長/文化財保存修復学会会長 三輪 嘉六 戦時中や戦後における保存行政/戦争中の保存事情/文化財保護の立場から軍に抵抗/戦争直後の保存行政/国立博物館の改称と保存修理課の設置/法隆寺の焼失と文化財保護/『文化財保護法』の精神 日本による文化遺産保護国際協力事業の現状と問題点 国士舘大学イラク古代文化研究所教授 西浦 忠輝 文化遺産保護国際協力事業の種類/技術的諸問題/人材の養成/信頼関係の構築/観光開発と文化遺産の保護/経費負担の問題/地域住民との関係/考古学調査と保存修復整備/国内ネットワークの構築 F セッション●パネルディスカッション いかにあるべきか― 国際協力と日本の貢献 国士舘大学イラク古代文化研究所教授 西浦 忠輝 上智大学アジア人材養成研究センター所長 石澤 良昭 筑波大学大学院人間総合科学研究科教授 斎藤 英俊 学習院女子大学大学院教授 野口 英雄 国士舘大学イラク古代文化研究所所長 松本 健 九州国立博物館館長 三輪 嘉六 (独)文化財研究所東京文化財研究所室長 山内 和也 東京国立博物館では保存修理のあり方に早くから注目/アンコール・ワットは世界第4位の都市/イラク国立博物館の日本による復旧作業の現状/自衛隊による遺跡・文化財の保護・警備を/文化遺産保護の専門家の養成も急務/バーミヤーン大仏の復元、そして再破壊は防げるか/バーミヤーンの住民は遺跡復興に好意的/大仏再建の議論は時期尚早/アフガニスタンの治安の現状/戦後復興と文化遺産/一般市民の理解を得るための保護運動を/文化遺産の経済的資源としての活用を推進/なぜ、日本は『ハーグ条約』を批准しないのか/わが国では国内法で文化遺産は十分に保護できる/『ハーグ条約』がもつ可能性/日本にブルーシールド委員会事務局の設置を/日本的なブルーシールド組織の構築を/国際NGOの重要性/『ハーグ条約』の批准を/国際貢献できる日本人の人材養成が急務/文化財の人的な保存体制の見直しが必須 |