日本美術品の保存修復と装コウ技術 その参
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第1部●装コウと裂・織物 小袖によせて 河上 繁樹 関西学院大学教授 はじめに/表具と小袖裂/桃山時代の小袖にみる染織技法/慶長小袖の特徴/寛文小袖/元禄時代の小袖/18世紀後半の小袖意匠/小袖意匠の変遷 天然染料と染色 吉岡 幸雄 「染司よしおか」主宰 はじめに/吉岡の由来と植物染料のかかわり/世界にみる染色技法/植物染料と助剤(媒染剤)の働き/日本の伝統色の復元/染色作業の紹介/繊維と染料の相性/おわりに 織物技術の展開― 古代中国から日本中世― 藤井 健三 元京都市産業技術研究所繊維技術センター研究部長 はじめに/東洋と西洋の「文様織機」の違い/古代の「平織」と「地紋織」の技法/「羅」紋織技法/斜子使いの紋揚げ技法/「経錦」から「緯錦」の技法/「糸錦」の織物技法/織機の開発 名物裂について― 金襴・緞子を中心に― 小笠原小枝 日本女子大学教授・東京国立博物館客員研究員 はじめに/名物裂をとりまく新しい研究の流れ/名物裂とは/名物裂の成立/修善寺本尊から織金錦の発見/古金襴の特徴/中国・南宋から元時代の染織/スライド解説から/牡丹唐草模様の変遷と特徴/インド・イラン産のモール/おわりに 掛軸と裂について 小田 榮一 春海商店主人 掛軸の分類法と表装/裂とは/表装について/古筆について/小堀遠州と中興名物/大名物と中興名物/裂の種類ととりあわせ/墨跡の紹介/一行の実例/継色紙/落葉切と熊野懐紙/唐絵/瀟湘八景/その他の作品 第2部●装コウと和紙 製紙法の今昔 久米 康生 和紙文化研究会代表 未成熟な和紙研究/難しい古紙の判定/紙種別製法の詳しい研究が必要/和紙の原料/煮熟剤と叩解/填料と粘剤/漉き方と漉き簀/流し漉き/紙漉きの簀の種類と特徴/湿紙の圧搾と乾燥/打ち紙のこと/紙の寸法の移りかわり/紙の厚さ/中世料紙の紙種別特徴の指標 和紙と表具 柳橋 眞 金沢美術工芸大学大学院専任教授 第1部 展示した見本紙の解説/木灰煮熟による和紙の現状/なにを伝え、なにを残すべきか/楮紙・雁皮紙・三椏紙の違い/箔打紙の特徴/新しく若い動き/ 第2部 現代における木灰煮の紙の評価 第3部 4紙の作業工程 宇陀紙の説明/箔打紙の説明/門出紙の説明 料紙について―奈良時代の古経料紙に使われた繊維― 宍倉 佐敏 共立女子大学名誉教授、理学博士 はじめに/紙の繊維分析法/資料の繊維分析概要/奈良時代中期の紙/奈良時代後期の紙/「百万塔陀羅尼」料紙にみる地方性/荼毘紙について/「中聖武」と「大聖武」の違い/オニシバリとは/なぜ、オニシバリは消えたか 和紙の劣化と保存 稲葉 政満 特種製紙株式会社研究所材料研究室兼資料館準備室員 はじめに/紙の劣化スピードと酸性度/和紙の製法と劣化スピード/紙繊維の変化と劣化/紙の劣化因子/湿度と劣化/紙の保存条件/和紙の保存性に及ぼす煮熟剤の影響/和紙の煮熟剤と保存性/酸化による劣化/ガンマ線と熱処理による劣化 和紙と日本人の二千年 町田 誠之 日本・紙アカデミー名誉会長、京都工芸繊維大学名誉教授、財団法人紙の博物館名誉顧問、理学博士 文化・紙・水/万物の根源は水/植物体の成り立ち/製紙用植物の分類/木材繊維のパルプの応用/製紙用植物繊維の形態と紙の特性/水分子の構造と高分子に働く力/製紙用植物の主成分/おわりに 第3部●装コウと漆芸・金工 装コウにおける漆工―さまざまな 漆塗り― 加藤 寛 独立行政法人東京文化財研究所伝統技術研究室長 漆とは/世界最北限のウルシ/東南アジアでのウルシ栽培/東南アジアの漆工品/漆塗り素地/椀について/漆塗り工程/さまざまな漆塗り/変り塗の実例/磯草塗、手綱塗 装コウにおける金工―金属の技巧― 宮田 亮平 東京藝術大学美術学部長・工芸科教授 金属そのものの錆を生かす/鉄の表面加工と漆と/金属加工の種類/木目金の接合/変型絞りの工程……1/変型絞りの工程……2/装に用いられる主な金属材料と表面加工 装コウと組紐―組紐の美― 山岡 健八 株式会社「道明」取締役社長 はじめに/三つ編み/三つ編みの発展/一間組、二間組、三間組/代表的な柄/中尊寺経の紐の試作/浅草寺経の組紐の試作/平家納経の紐の試作 |