子どもの脳から大人の脳へ−2005世界脳週間の講演より−
脳のなりたち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
東北大学大学院医学系研究科 大隅 典子

脳科学は総合的・学際的/脳を構成する神経細胞
脳を構成するニューロンの構造/シナプスのしくみ
ニューロンはネットワークを構築する/脳のはたらきと機能


脳の育ち方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
鳥取大学大学院医学系研究科 畠 義郎

脳を構成する細胞/神経回路での情報の流れ/言葉の学習と年齢
視覚の発達にも子どものときの経験が重要
子どものときの「みる」経験が視力の発達に不可欠
視覚を支える神経回路の発達には子どものときの刺激が必要
脳には環境にあわせて適応していく力がある/トレーニングによって脳は発達する


神経回路の発達―子どもの脳から大人の脳へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
自然科学研究機構生理学研究所発達生理学研究系 鍋倉 淳一

胎児の行動観察は中枢神経の内的な表現の観察
胎児は成長とともにどのような行動をとるか/胎児も外界の刺激に反応するようになる
発達とともに脳のネットワークは変化する
成長とともに複雑なネットワークが整理されていく
シナプスの選択的な減少が起こらないとどうなるか
シナプス競合にはどんな意味があるか/シナプス競合を助ける情報の重み付け
興奮性と抑制性の伝達物質が使い分けられている
神経回路の発達過程には刺激が不可欠/発達期におけるギャバの役割は逆転する
成熟した脳にも柔軟性が残っている


脳の損傷からどう立ち直るのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
自然科学研究機構生理学研究所発達生理学研究系 伊佐 正

脳が損傷をうけるとどうなるか/損傷をうけた脳は治るか
二人の患者さんの話/ブローダル教授の考察―脳卒中後の回復過程
基礎研究の成果をどう患者さんに還元していくか
霊長類にも皮質脊髄路の脇道が存在する
皮質脊髄路が損傷したサルでも器用な指の動きは回復する/運動機能の回復と脳活動
正常では使われていないような領域が損傷の回復過程では使われる
脳機能の回復にはモチベーションが重要/みえないところがみえる
一次視覚野を損傷したサルを用いた研究
霊長類にもハ虫類や両生類の古い視覚伝達系が残っている
回復困難な患者さんへの新しい治療法の開発


遺伝子、脳、こころ―マウスの研究からわかったこと・・・・・・・・・・・・・・・105
京都大学大学院医学研究科 宮川 剛

遺伝子とは/こころの発達は、氏か育ちか
遺伝子のはたらきを調べる遺伝子ターゲティング
マウスを使ってヒトのこころの研究ができるか
カルシニューリン遺伝子欠損マウスをつくる/記憶にもいろいろな種類がある
カルシニューリン遺伝子欠損マウスの学習能力
カルシニューリン遺伝子欠損マウスの行動
カルシニューリン遺伝子欠損マウスは統合失調症のモデル動物になりうるか
統合失調症に関係する遺伝子
カルシニューリンと統合失調症との関係解明を/おわりに


「こころの内」を計測する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・141
(独)理化学研究所脳科学総合研究センター高次脳機能発達研究グループ 入來 篤史

動物とヒトの違い/なぜ、こころのなかを計測するのか
動物は道具を使用することができるようになるか/体性感覚と視覚の統合領域を探る
心的に操作された身体イメージのコード化/ヒトは成長とともに表象が積み重なっていく
サルの高次認知機能のさらなる発展/より高度な道具の組み合わせ使用が可能になる
サルの道具使用の習熟度を計る/ヒトの知の発達と石器の発達/道具使用と言語の獲得
道具使用からヒトの知性に迫る