生物の生存戦略−われわれ地球生物ファミリーはいかにしてここにかくあるのか−
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挨拶 自然科学研究機構長 志村 令郎 006 趣旨説明 プログラムコーディネーター 立花 隆 012 生命を生み出すまでの宇宙進化 国立天文台副台長 福島登志夫 017 はじめに/宇宙/銀河の誕生/銀河から恒星へ/ 恒星/太陽/木星/月/地球 ゲノム進化が生み出した動物と植物のちがい 基礎生物学研究所 長谷部光泰 035 植物と動物/植物の多様性/植物の多様性を生む原動力/個体発生は系統発生を繰り返さない/ 発生学と進化学の再会/陸上植物の進化/イヌカタヒバ・ゲノムプロジェクト/ ヒメツリガネゴケ・ゲノムプロジェクトが始まる前/ヒメツリガネゴケ・ゲノムプロジェクト/ 遺伝子の系図の作成/陸上植物の発生遺伝子/植物のゲノム進化、動物のゲノム進化 性―多様性を生み出す原動力 基礎生物学研究所 長濱 嘉孝 055 性は多様性と個性を生む/脊椎動物における性決定/メダカの性決定遺伝子の探索/ メダカの性決定遺伝子/メダカのDMY遺伝子の起源/メダカの進化とDMY遺伝子の進化/ 性決定遺伝子の比較/脊椎動物の性決定と生殖腺の性分化/環境と性/ オキナワベニハゼの性転換/おわりに 有性生殖と無性生殖の両方を支える幹細胞システム 京都大学 阿形 清和 075 生物の生存戦略を考える/幹細胞とは/全能性幹細胞/有性生殖を細胞レベルでみる/ プラナリアで無性生殖を細胞レベルでみる/プラナリアの生存戦略/ プラナリアの神経系を形づくる遺伝子/無性生殖と有性生殖の切り替え/ 全能性幹細胞システムを介した適応的生存戦略/無性生殖と有性生殖を支える全能性幹細胞/ 世代のつなぎ方 動物の形づくり―背に腹はかえられる? 基礎生物学研究所 上野 直人 091 カエルの初期発生/背と腹はどのように決まるか/オーガナイザー物質を求めて/ 細胞間相互作用が生物を形づくる/背腹を決める細胞増殖因子/BMPのはたらき/ 背側誘導因子とBMP/オーガナイザーの本体とは/BMPと進化/背腹軸形成機構解明の歴史 カメを生み出した発生的進化要因 理化学研究所 倉谷 滋 109 相同と相似/脊椎動物の基本形態/カメの解剖学的な形態と甲羅/甲羅の基本構造/ 甲羅の進化と発生過程/甲羅をつくる遺伝子はあるか/甲羅を形成するメカニズム/まとめ 植物の“花々しい”生活 奈良先端科学技術大学院大学 島本 功 129 植物は季節がわかる/短日植物と長日植物の日長認識の違い/ 花成ホルモン(フロリゲン)/花成ホルモンの六条件/花成ホルモン研究の歴史/ イネの花成を促進する遺伝子/Hd3aの可視化/ Hd3a:GFPを葉で検出する/Hd3aたんぱく質の移動モデル/今後の課題 昆虫の起源と進化 JT生命誌研究館 蘇 智慧 143 一. 昆虫の繁栄とその理由・昆虫は現在の地球上でもっとも多様化した生物群/ 多様な昆虫を生み出す原動力/ 二. 昆虫は同一先祖から由来したのか/生物の系統関係を調べる/ 昆虫にもっとも近縁な生物/無翅昆虫類は昆虫ではない?/昆虫は同一祖先に由来/ 三. オサムシの系統進化と地史との関連―オサムシの系統進化の解明/ オサムシの系統進化と日本列島の形成史/世界のオサムシの系統進化と地史/ オサムシは地球の変化、環境の変化とともに多様化 共生と生物進化 産業技術総合研究所 深津 武馬 165 どのようにして生物の多様性が生まれてきたのか/ 現代の進化学説のエッセンス:「変異」、「選択」、「遺伝」/ 進化の原材料たる「遺伝する変異」は、どこからやってくるのか/ 共生とは何か/内部共生とは何か/必須共生と任意共生/消化共生/栄養共生/発光共生/ 共生微生物の伝達機構/内部共生の普遍性と重要性/昆虫と微生物の内部共生関係の研究への取り組み/ 微生物の発見の歴史/微生物多様性の認識の歴史/難培養性微生物:未探索の生物多様性のフロンティア/ 難培養性微生物のモデル系としての昆虫内部共生微生物/研究プロジェクト群:テーマ選択の四原則/ 宿主昆虫、必須共生細菌、任意共生細菌のあいだの生理学的、生態学的相互作用の解明/ 宿主昆虫の植物適応にかかわる共生細菌の発見/ マルカメムシの腸内共生細菌のカプセル伝達を利用した共生機構、共進化の実験的解析/ 共生細菌による害虫化の発見/共生細菌による宿主昆虫の性転換機構の解析/ 共生細菌によるオス殺し現象の機構の解明/共生細菌から宿主昆虫への遺伝子水平転移の発見/ 吸血性昆虫類の細胞内共生細菌の同定と機能解析/昆虫共生細菌の遺伝子操作、形質転換系の開発/ 昆虫共生細菌の全ゲノム解析/冬虫夏草類・酵母様共生菌の系統関係および進化過程の解明/ 社会性アブラムシにおける兵隊階級の分化機構の解明/ 兵隊アブラムシに特異的な新規攻撃毒プロテアーゼの同定/昆虫による植物形態の操作機構の解明/ 社会性アブラムシにおける自己犠牲的ゴール修復の発見/まとめ 脳が制御する塩分摂取 基礎生物学研究所 野田 昌晴 197 話のアウトライン/体液中のナトリウムイオンと水/脳による体液状態の監視と制御/ 体液状態の監視は脳で行われている/Naxチャネルの構造/ Nax遺伝子欠損マウスの塩分・水分摂取行動/Naxは脳内のナトリウムレベルセンサーである/ 脳弓下器官のグリア細胞が塩分摂取制御のための体液ナトリウムレベルセンシングを行っている/ 脳弓下器官の構造とNaxの発現/NaxとNa/K-ATPaseとの結合の意味: ナトリウム濃度上昇依存的なグリア細胞のグルコース代謝活性化の実現/ グリア細胞からニューロンへの情報伝達機構/脳における糖代謝と神経活動の相関 〈対談〉 222 基礎生物学への期待 立花 隆 基礎生物学研究所長 岡田 清孝 閉会の挨拶 岡田 清孝 227 |