ブレインサイエンス・レビュー2013
はじめに
(公財)ブレインサイエンス振興財団 理事長 廣川 信隆 3


運動指令を形成する皮質内機能的回路の探索
玉川大学 脳科学研究所 礒村 宜和 9
はじめに
1.運動発現の仕組みを探る研究手法の確立
1-1 頭部固定ラットの運動課題の開発
1-2 行動中の動物からの傍細胞記録法の確立
1-3 マルチニューロン活動の記録と解析
2.運動野細胞の機能的活動を探る
2-1 運動野の皮質層の役割
2-2 運動野の錐体細胞と介在細胞のはたらき
2-3 大脳皮質細胞の発火特性の理論的背景
3.運動野細胞間の情報伝達を探る
3-1 運動野細胞の発火の一致
3-2 運動野のオシレーション活動
4.運動野の入出力情報を探る
おわりに


皮質脊髄路シナプス除去の分子メカニズム
帝京大学医学部生理学教室 大野 孝恵 27
研究の背景
1)皮質脊髄路の発達
2)発達期シナプス可塑性とNMDA受容体サブユニット
3)臨界期終了のメカニズムとNMDA受容体サブユニット
1.マウスにおける発達期皮質脊髄路シナプスの再構築
1)皮質脊髄field EPSP
2)皮質脊髄optical EPSP
2.発達早期の皮質脊髄路シナプス除去に対する2Bの選択的関与
1)皮質脊髄field EPSP
2)皮質脊髄optical EPSP
3)皮質脊髄軸索のライブ観察
4)シナプス除去に対する皮質側2Bの関与
3.シナプス除去過程における2b−/−および2a−/−の相違は何によるのか?
1)NMDA電流の比較
2)2a−/−におけるカルシウム流入量の調整
4.皮質脊髄路シナプスにおける臨界期終了とNMDA受容体サブユニット
1)皮質脊髄路シナプス除去の臨界期(critical period)
2)臨界期終了前後に変化する物質
3)2a−/−における臨界期の延長
4)MTEPもしくはproBDNF投与による臨界期の再開
5)TBB投与による2Bのアップレギュレーションと臨界期の延長
おわりに


精神疾患遺伝因子と前頭前野の発達と機能
ジョンズホプキンス大学医学部精神医学部門 神谷 篤 45
はじめに
1.分子神経科学的アプローチによるリスク遺伝子研究
2.DISC1研究から学ぶべきこと
3.リスク遺伝子の動物モデル
4.nNOS signalingと前頭前野機能
おわりに


神経回路形成をつかさどる遺伝子発現プログラム
慶應義塾大学医学部 桑子 賢一郎 59
はじめに
1.軸索正中線交差と発現制御プログラム
1-1 転写制御
1-2 転写後制御
2.軸索誘導におけるRNAレベルでの発現制御機構
2-1 神経系RNA結合たんぱく質Musashi1
2-2 小脳前核ニューロンの神経回路と軸索正中線交差
2-3 Musashi1欠損マウスにおける軸索正中線交差の異常
2-4 Musashi1によるSlit受容体Robo3の転写後発現制御
2-5 Musashi1欠損マウスの異常とRobo3の発現低下
2-6 底板由来シグナルによるMusashi1-Robo3の時空間的発現制御
2-7 RNAレベルでの発現制御の必要性
3.神経回路形成過程の他のステップにおける遺伝子発現プログラム
3-1 特異的シナプス結合
3-2 軸索伸展期からシナプス形成期への移行
おわりに


雄の性機能をつかさどる脳−脊髄神経回路の解明
岡山大学大学院自然科学研究科地球生命物質科学専攻 坂本 浩隆 83
はじめに
1.腰髄におけるGRPニューロン系発見
1-1 腰髄GRPニューロン系のホルモン制御
1-2 精巣性女性化症(Tfm)モデル動物を用いた解析
1-3 In vivo機能解析
1-4 脊髄GRPニューロン系のストレス応答
2.間脳オキシトシンニューロンの脊髄GRPニューロン系への関与
2-1 腰髄におけるオキシトシンの線維分布と局所濃度
2-2 脊髄GRPニューロンにおけるオキシトシンに対する受容能
3.超高圧電子顕微鏡(HVEM)を用いた
微細構造レベルでの性機能をつかさどる神経回路系の解析
3-1 逆行性標識とGRP免疫電顕との二重標識
3-2 二重免疫電顕像を用いた三次元立体再構築・トモグラフィー法への応用
4.弱毒化狂犬病ウイルストレーサーを用いた
球海綿体筋からの脊髄GRPニューロンへの投射解析
5.神経細胞(ニューロン・グリア)特異的なアンドロゲン
受容体遺伝子欠損(ARNesCre)マウスを用いた解析
おわりに


メカノセンサーによる受動的軸索伸長の制御
群馬大学大学院医学系研究科 柴崎 貢志 103
はじめに
1. 侵害熱センサーとして知られていたTRPV2は、
発生期にはメカノセンサーとして機能し、軸索伸長を促進している
2. TRPV2は内臓においてもメカノセンサーとして機能している
3. TRPV2は非常に微弱な機械刺激を感知する;受動的軸索伸長とTRPV2
4.TRPV2KOマウス解析と問題点
5.今後の展望
おわりに


神経特異的中間径フィラメントたんぱく質の細胞内動態
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科神経機能形態学分野 寺田 純雄 123
はじめに
1. 神経細胞における中間径フィラメントたんぱく質
2. ニューロフィラメントたんぱく質の特徴
3. ニューロフィラメントたんぱく質の細胞内輸送機構の解明経過
3-1 パルス標識法による古典的研究成果とその後の展開
3-2 構造仮説と重合体滑り仮説
3-3 統合仮説(ユニタリー仮説)とサブユニット輸送仮説
3-4 遅い輸送の分子機構
3-5 重合体滑り仮説vs.サブユニット輸送仮説
3-6 仮説の対立?何が問題か?
4. 神経細胞内中間径フィラメントたんぱく質の動態の現場観察
4-1 神経系中間径フィラメントたんぱく質動態の観察系の確立
4-2 αインターネキシン/NF-M共重合体とNF-L/NF-M共重合体の重合動態
4-3 培養初代神経細胞内でのNF-Mの動態観察
4-4 観察結果から推定される動態の分子機構
5. 結 語−神経系中間径フィラメントたんぱく質の動態研究の今後


活動依存的な遺伝子発現誘導・突起伸展機構
東京大学大学院医学系研究科 神経生化学分野 尾藤 晴彦 155
はじめに
1.神経可塑性の誘導と記憶形成
2.長期可塑性保持と記憶固定化に必須な神経活動依存的転写
3.活動依存的転写制御のメカニズム
4.シナプスタギング仮説
5.Arcと逆シナプスタギング
6.CaMKK-CaMK?群による細胞骨格制御の可能性
7.膜アンカー型キナーゼであるCLICK-?/CaMK?γによるBDNF依存的樹状突起形態制御
8.CaMK?αによるGABA依存的軸索伸展制御
9.今後の課題


筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスの作成
広島大学原爆放射線医科学研究所 丸山 博文 169
はじめに
1.筋萎縮性側索硬化症の新規原因遺伝子optineurinの同定1)
1-1 候補領域の同定
1-2 Optineurin遺伝子変異の同定
1-3 Optineurin変異の影響
1-4 OPTN変異例の臨床像
1-5 神経病理学的検討
2.筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスの現状
2-1 SOD1遺伝子改変マウス
2-2 TDP-43遺伝子改変マウス
3.Optineurin変異によるモデルマウスの作成
4.考 察
おわりに


索 引 183