ブレインサイエンス・レビュー2014
はじめに
(公財)ブレインサイエンス振興財団 理事長 廣川 信隆 3


哺乳類概日時計を駆動する2つの発振原理
東京大学大学院医学系研究科 システムズ薬理学分野
理化学研究所 生命システム研究センター 上田 泰己 15
はじめに
1. 概日時計
2. 哺乳類概日時計の転写回路
3. 設計図から予測された転写制御機構の証明
4. 朝と夕方の転写制御
4-1 再構成できていない位相?朝
4-2 Cry1の発現制御?夕方
5. 概日時計の最小単位の転写ネットワーク:遅れを持つ負のフィードバック
6. 「遅れを持つ負のフィードバック」の実験的な検証
7. 哺乳類概日周期の温度補償性
8. リン酸化・脱リン酸化自律振動子(理論):同期した1分子振動子
9. 2つの自律振動子の共存
おわりに


柔軟な判断の神経基盤
順天堂大学医学部生理学第一講座 宇賀 貴紀 39
はじめに
1. タスクスイッチ課題の開発
2. サルの行動解析
3. MT野のニューロン活動
4. MT野の電気刺激
5. LIP野のニューロン活動
6. Diffusionモデルによる説明
おわりに


非酵素的翻訳後修飾による脳機能制御機構
京都大学大学院薬学研究科 柿澤 昌 57
はじめに
1. 生体内のNOシグナル系
2. 神経活動依存的なNO産生放出と小脳シナプス可塑性
3. NO依存的なシナプス可塑性への細胞内Ca2+シグナルの関与
4. リアノジン受容体のS-ニトロシル化による活性調節
5. 新規カルシウム放出機構「一酸化窒素依存的カルシウム放出」
6. NO依存的Ca2+放出の機能的役割:小脳シナプス可塑性への関与
おわりに


社会性行動を担う遺伝子ネットワークの同定
京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター 櫻井 武 79
はじめに
1. 社会性行動の発達とは神経生物学的にどういうことか
1-1 発達心理学から生物学へ、脳イメージングによる研究
1-2 脳イメージングから細胞レベルでの神経生物学へ
1-3 社会性行動の異常と発達精神障害
2. 社会性行動の異常を示すヒトの発達障害から社会性行動を支える遺伝子が同定できるか?
3. 社会性行動を支える遺伝子とは何をするのか
4. マウスの社会性行動とヒトの社会性行動はどこが同じでどこが異なるのか
4-1 マウスの社会性行動とは
4-2 マウスの社会性行動の要素的な過程
5. 社会性行動を支える神経回路の形成のメカニズムの解明に
Gtf2i遺伝子改変マウスをどうやって利用したらよいか
5-1 Gtf2iヘテロザイゴスマウスの行動解析
5-2 Gtf2iヘテロザイゴスマウスの社会脳領域における遺伝子発現の変化
5-3 Gtf2i BACトランスジェニックマウスの作製
5-4 今後の方向性
おわりに


神経系組織のパターン形成に見る自己組織化:創発生物学への挑戦
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 笹井 芳樹 99
はじめに
1. 多細胞社会が創発する秩序
2. 自己組織化にみる創発現象
3. 立体浮游凝集塊培養に神経分化
4. 多層化大脳皮質の自己組織化
5. 眼杯の自己組織化
6. 下垂体の自己組織化
結 語:創発生物学の旅立ち


分子神経イメージングによる神経経済学の発展
京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座精神医学教室 高橋 英彦 113
はじめに
1. 公平性にかかわる分子神経イメージング
1-1 公平性に関する意思決定と情動
1-2 不公平に対する反応の個人差とセロトニン
2. リスク下の意思決定の分子神経イメージング
2-1 リスク下の意思決定と確率の非線型重み付け
2-2 確率の非線形重み付けとドーパミン
3. 損失忌避の分子イメージング
3-1 リスク下の意思決定と損失忌避
3-2 損失忌避とノルアドレナリン
おわりに


筋萎縮性側索硬化症治療に向けた新規モデル開発とRNA関連因子
筑波大学医学医療系神経内科 詫間 浩 129
はじめに
1. ALSとRNA編集
1-1 ALSと興奮性神経毒
1-2 グルタミン酸受容体とRNA編集
2. TDP-43とALS
2-1 ALSにおけるTDP-43封入体の発見
2-2 TDP-43の機能
2-3 TDP-43による神経細胞死のメカニズム
2-4 ADAR2による運動ニューロン死とTDP-43との関連
3. マイクロRNAと神経疾患
4. 新しいモデル系〜子宮内電気穿孔法(in utero electroporation)の疾患モデルへの応用
5. 今後の展望
おわりに


神経再生促進物質LOTUSの生理機能解析
横浜市立大学医学群生体システム医科学系生命医科学部門 竹居 光太郎 149
1. 機能的スクリーニング法の開発
2. 神経回路形成因子LOTUSの発見
3. LOTUSの結合分子Nogo受容体
4. LOTUSの機能
4-1 Nogo受容体アンタゴニスト
4-2 LOTUSの機能ドメイン
4-3 嗅索形成におけるLOTUSの機能
5. 将来展望


時間情報処理における大脳小脳連関の役割
北海道大学医学研究科 田中 真樹 165
はじめに
1. 時間の符号化
1-1 神経積分
1-2 感覚順応
1-3 引き込みや学習による同期
1-4 一致検出
2. 小脳による時間情報処理
2-1 オドボール課題とその遂行に必要となる情報処理
2-2 前頭葉皮質の神経活動
2-3 小脳核の神経活動
2-4 小脳核の不活化の影響
2-5 小脳−視床大脳経路における情報変換
おわりに


顎口腔顔面運動を制御する漏洩K+チャネルの発現様式
大阪大学大学院歯学研究科・高次脳口腔機能学講座 豊田 博紀 187
はじめに
1. 漏洩K+チャネルとは
2. 咬筋および顔面筋運動ニューロンとTASKチャネルの関係
3. 三叉神経運動核咬筋領域および顔面神経核の運動ニューロンにおける
TASK1およびTASK3 mRNAの発現量の検討
4. 小型および大型三叉神経運動ニューロンにおける入力抵抗の比較
5. 咬筋運動ニューロンにおけるTASKチャネルの役割
6. 顔面運動神経ニューロンにおけるTASKチャネルの役割
7. TASKチャネルの発現様式と性差
おわりに


感覚神経系における特徴抽出機構の発達
東京女子医科大学 医学部 第一生理学教室 鳴島 円 205
はじめに
1. マウス大脳皮質視覚野ニューロンの方向選択性
2. マウス網膜と外側膝状体の方向選択性
3. マウス視覚系における方向選択性の発達
4. げっ歯類体性感覚系ニューロンの方向選択性
5. 網膜−外側膝状体シナプスと内側毛帯−VPmシナプスの活動依存的な再編成
おわりに:末梢−視床シナプス再編成が大脳皮質機能に及ぼす役割


記憶痕跡の可視化と操作より探る記憶情報の脳内表現
京都大学白眉センター、JSTさきがけ 松尾 直毅 233
はじめに
1. 記憶痕跡
2. 記憶痕跡細胞の可視化
2-1 最初期遺伝子群の活用
2-2 遺伝子改変マウスの活用
3. 記憶痕跡細胞の活動操作
3-1 記憶痕跡細胞の人為的活動抑制
3-2 記憶痕跡細胞の人為的再賦活化
4. シナプスにおける記憶痕跡
5. 記憶痕跡の変化
おわりに


ニューロンにおけるDNAの増幅
福岡女子大学国際文理学部 松尾 亮太 251
はじめに
1. 体重増加に応じたDNA増幅
2. ゲノムDNAは倍数化しているのか?
3. ニューロンは、個体の「成長」のいかなる側面を認識してゲノムを倍数化させるのか?
今後の展望


脳磁計による神経義手のALS患者への適応
大阪大学大学院医学系研究科 柳澤 琢史 267
はじめに
1. 運動麻痺患者における感覚運動野皮質脳波の変化
1-1 皮質脳波とは
1-2 運動時の皮質脳波の特徴
1-3 皮質脳波から運動内容を推定する
1-4 運動麻痺患者における皮質脳波の特徴と運動推定精度
1-5 皮質脳波による神経義手制御
2. ALS患者に対する脳磁図による神経義手制御
2-1 脳磁図による神経義手の必要性
2-2 MEGによる上肢運動推定
2-3 MEGによる神経義手
3. ALSを対象とした皮質脳波BMIの臨床研究
4. まとめと今後の展望


索 引 287