ブレインサイエンス・レビュー 2017
はじめに
(公財)ブレインサイエンス振興財団 理事 廣川 信隆 3


グルタチオンによる神経保護作用
帝京大学医学部薬理学講座 青山 晃治 19
はじめに
1. 細胞内GSHによる酸化還元状態の維持
2. 組織におけるGSH動態
3. 中枢神経における酸化ストレス
4. 神経変性疾患と抗酸化機構
5. 抗酸化物質
6. 神経細胞におけるCys取り込み機構
7. タンパク質リン酸化によるEAAC1発現調節
8. タンパク質相互作用によるEAAC1発現調節
9. GTRAP3-18制御による神経GSH産生調節
10. 遺伝子発現によるEAAC1発現調節
まとめ


脳回路活動の構造解析
東京大学大学院薬学系研究科 池谷 裕二 43
序 論
1. 機能的多ニューロンカルシウム画像法(fMCI)とは
2. 自発活動にみる神経発火同期
3. 神経発火同期を支える神経活動
おわりに


眼を動かしても外界が動いて見えないのはなぜか
北海道大学医学研究科医学教育推進センター 稲場 直子 59
はじめに
1. 眼球運動によって生じる網膜像のブレを補正する
【課題1】静止視標を固視中に動く背景刺激を呈示する
【課題2】眼が動いているあいだに【課題1】と同じ網膜像の動きを刺激として与える
2. 眼球運動前後の視覚情報を照合して統合する
2-1 眼球運動前後の視覚情報を照合する
2-2 眼球運動前後の視覚情報を外部空間に応じて統合する
おわりに


神経幹細胞の増殖・分化の光制御と生後脳・成体脳ニューロン新生
京都大学・ウイルス研究所、JSTさきがけ 今吉 格 77
はじめに
1. 発生期脳における神経幹細胞の制御機構
1-1 神経幹細胞と脳の発生
1-2 bHLH型転写因子による神経幹細胞の自己複製と分化運命決定の制御
1-3 神経幹細胞の自己複製とbHLH型転写因子のオシレーション
1-4 神経幹細胞の細胞分化とbHLH型転写因子の蓄積発現
1-5 Ascl1の発現ダイナミクスの光操作と神経幹細胞制御
2. 生後脳・成体脳における神経幹細胞の制御機構
2-1 生後脳・成体脳神経幹細胞とニューロン新生
2-2 生後脳・成体脳神経幹細胞の分化制御メカニズム
2-3 ニューロン新生と高次脳機構
3. 考察・展望


シナプス刈り込みにおけるグリア細胞の役割
東京大学大学院医学系研究科神経生理学教室 上阪 直史 99
序 論
1. アプローチ
2. 結 果
2-1 レンチウイルスベクターを用いたアストロサイトへの遺伝子導入
2-2 若年マウスでのGLASTノックダウンの評価
2-3 新生仔マウスでのGLASTノックダウンの評価
3. 考 察


メダカを用いた「魚類社会脳」の分子神経基盤の解明
岡山大学大学院自然科学研究科(理学部生物学科)・分子行動学研究室 竹内 秀明 115
はじめに
1. メダカの社会行動
2. メダカのメスの配偶者選択
3. メダカのメスの配偶者選択に必要なニューロンの同定
4. 終神経GnRH3ニューロンの活動は「お見合い」によって活性化する
5. GnRH3は終神経GnRH3ニューロンの活性化に必要である
6. メスの配偶者選択における意思決定モデル
7. メダカのオスの配偶者防衛行動
8. メダカのオスの配偶者防衛行動にかかわるホルモンの同定
9. 求愛行動、攻撃行動におけるバソトシンシステムの役割
10. メスの三角関係における性行動の適応的意義の考察
11. 今後の展望
11-1 魚類社会脳の分子神経基盤の全容解明を目指して
11-2 メダカの社会行動の多階層的理解を目指した研究


心理ストレスによる自律生理反応を駆動する中枢神経回路機構
名古屋大学大学院医学系研究科 統合生理学分野 中村 和弘 135
はじめに
1. 実験動物を使ったストレス性自律生理反応の観察
2. 心理ストレス性交感神経反応を駆動する中枢神経回路
2-1 延髄−脊髄の出力系機構
2-2 視床下部−延髄のストレス信号伝達機構
3. ストレスホルモンの分泌反応を駆動する中枢神経回路
4. 視床下部背内側部へのストレス信号の入力機構


水/塩欲求制御に関わる神経機構
基礎生物学研究所 統合神経生物学研究部門 檜山 武史 151
はじめに
1. Naxによる細胞外Na+センシング
1-1 NaチャネルNaxの構造
1-2 Naxチャネルの脳内発現領域
1-3 Naxチャネルの分子機能
1-4 エンドセリン-3がNaxのNa+濃度感受性を高める
2. Nax-KOマウスの塩欲求性の異常
2-1 脱水時におけるNax-KOマウスの行動異常
2-2 Na+モニタリングの中枢
3. SFOにおけるNa+レベル情報の信号処理
3-1 Naxによる解糖系の制御
3-2 放出された乳酸が神経活動を活性化する
3-3 乳酸シャトル仮説との違い
3-4 Na+レベルの情報を伝達する神経経路の解析
3-5 Naxを介した飲水行動の制御機構
4. 高Na血症
4-1 患者における抗Nax自己抗体の産生
4-2 患者Ig投与マウスの症状
4-3 患者Ig投与マウスのNax発現領域における細胞死
4-4 本態性高Na血症の発症機構
4-5 SFOを認識する自己抗体により生じる本態性高Na血症
おわりに


統合失調症のγ帯域皮質活動異常の解明
九州大学大学院医学研究院精神病態医学 平野 羊嗣 183
はじめに
γ帯皮質活動異常と統合失調症
γband oscillationと抑制性介在ニューロン
E/I バランス
今後の展望
謝辞と報告


食餌による神経前駆細胞の静止期制御機構
東京大学大学院薬学系研究科生理化学教室 福山 征光 199
はじめに
1. 線虫の神経前駆細胞の栄養応答
2. ヘッジホッグ関連因子をコードするgrl-7は神経前駆細胞を活性化する
3. grl-7はmiR-235の標的遺伝子である
4. GRL-7は表皮や神経前駆細胞のアピカル側に分泌される
5. grl-7は神経前駆細胞の活性化に寄与する
6. PTCHDをコードするptr-18は神経前駆細胞の静止期の維持に必須である
おわりに


幼少期ストレスが成体海馬神経前駆細胞に及ぼす作用とそのメカニズムの解明を通して気分障害の新規治療薬を考える
神戸大学大学院医学研究科精神医学分野 朴 秀賢 227
はじめに
1. 「幼少期ストレス−成体海馬神経細胞新生−気分障害」仮説の成り立ち
1-1 成体海馬神経細胞新生と気分障害
1-2 気分障害と幼少期ストレス
1-3 幼少期ストレスと成体海馬神経細胞新生
1-4 幼少期ストレス―成体海馬神経細胞新生―気分障害仮説
2. 幼少期ストレスが成体海馬神経細胞新生を抑制するメカニズム
2-1 幼少期ストレスはどのように成体までの長期間にわたる影響を海馬神経細胞新生に及ぼすのか?
2-2 幼少期ストレスは神経前駆細胞にエピジェネティックな作用を及ぼしているのか?〜In vitro培養系の必要性
2-3 幼少期ストレスが成体海馬歯状回由来神経前駆細胞の挙動に及ぼす作用
2-4 母子分離ストレスによるニューロンへの分化能減弱にエピジェネティックなメカニズムは関与しているか?
2-5 母子分離ストレスはどの遺伝子のDNAメチル化を増加させるのか?〜RARαの関与
2-6 母子分離ストレスはどのようにしてDNAメチル化を増加させるのか?〜DNMT1の関与
2-7 本研究の意義、問題点および今後の方向性
3. 幼少期ストレスは成体海馬神経前駆細胞のDNMT1発現量をどのようにして増加させるのか?〜気分障害の新規治療薬の可能性
おわりに


小型魚類を用いた神経精神疾患研究
新潟大学超域学術院 脳病態解析分野 松井 秀彰 253
はじめに
1. 利点その1:小型魚類は脊椎動物である
2. 利点その2:小型魚類はその稚魚が透明である
3. 利点その3:魚類は多種多様である
おわりに


新しい磁気刺激リハビリテーション開発と可塑性の解明
立命館大学大学院 先端総合学術研究科 美馬 達哉 271
はじめに
1. 可塑性とリハの関係
2. rTMSと反復運動の組み合わせによるハイブリッド・リハ
3. 脳卒中後のシステム可塑性−脳機能イメージングからの示唆
4. 脳機能イメージングによるハイブリッド・リハ効果の解明
おわりに


先天性神経疾患に対する新しい治療戦略
福井大学学術研究院医学系部門医学領域・分子生体情報学分野 山田 雅巳 283
はじめに
1. LIS1による細胞内ロジスティクス
2. 滑脳症治療とプロテアーゼ阻害薬
3. 神経細胞遊走障害を伴う疾患に対する治療薬の探索
4. LIS1による細胞内ロジスティクスの分子制御メカニズムの解明
5. インビトロ神経細胞遊走活性測定法
おわりに


索 引 305