元興寺文化財研究所 創立40周年記念論文集
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はじめに ―報告を兼ねて感謝― (財)元興寺文化財研究所創立40 年を期して、記念論文集を発行することができました。これひとえに、執筆者の先達諸兄や現役研究員の労であり、ご支援下さった関係各位のお蔭と有難く深く感謝いたします。 当研究所の歩みについては、前回『創立三十周年記念誌(1967 〜 1997 年)』のなかで詳細にわたって述べられていますので、その後10 年間について御報告致します。 平成9(1997)年12 月、創立30 周年事業として、郵政省お年玉付郵便葉書等寄付金事業「元興寺文化財研究所増改築事業」が完了しました。これは、本部所屋の老朽化の改修、文書等の保存修理作業室の増築整備と、室内と外観の部分的改装工事でした。 平成10(1998)年12 月、ユネスコ世界遺産会議において『古都奈良の文化財』が世界遺産に決定されました。その中で、元興寺の登録については、文化財保護法による各種の解体修理等補助事業や、国関連機関を主とする科学研究補助による総合研究の成果の賜であります。それらを継承した当研究所の調査研究の実績が評価されたとも考えられます。 平成11(1999)年11 月、岩城隆利先生(三代目所長)は既編の「元興寺編年史料」や関連する諸研究の成果も踏まえて、飛鳥寺の創建から、元興寺の世界遺産登録に至るまでの通史を『元興寺の歴史』(吉川弘文館)として公刊されました。 平成12(2000)年10 月、文化財保護法50 年記念に当たり、当研究所は、文化財保護に尽力し、多大の功績を上げたとして、文部大臣表彰を受けました。また同年11 月より、元興寺は、国庫補助事業『国宝元興寺極楽坊本堂ほか防災施設事業』を開始し、平成14(2002)年5月に完了しました。この間、研究所と保存会は連携して、元興寺と合同で勧募活動、関連整備事業も行いました。つまり、これらの事業は一種の記念事業的なものとなったのです。 一方、平成12 年の行政改革大綱の決定から、平成16(2004)年の日本育英会の解散、公益法人制度改革などの取り組みがなされるなか、当研究所は文化庁記念物課所轄の財団法人で、日本育英会法に基づく試験研究法人から、新たに平成17(2005)年6 月、特定公益増進法人に認定されました。公益法人制度の抜本的改革が進むなかで、今後は公益財団法人としての諸要素を満たすべく努力せねばならないでしょう。そこで、公益性の具体的説明責任と高度の専門的な知識経験を有する研究(研究員と実績)の必要性が大きくなるでしょう。 以上のような経緯の中で、当研究所創立40 周年の記念事業として論文集の発行に至りましたことを付言致しました。ご理解を賜りますようお願い申し上げます。 理事長辻村 泰善 |