脳を知る・創る・守る・育む 12−将棋と脳科学
 皆さん、お早うございます。私はこのNPO法人脳の世紀推進会議の副理事長を務めておりますが、同時に日本学術会議の会長も務めており科学の流れ全体にも少し責任をもっている立場ですので、一言だけご挨拶させていだきます。
 昨今、政権交代が起こり、日本の科学、技術、学術がどちらの方向にいってしまうか非常に気にしております。その理由は、これまで調子がよかった経済が何となく具合が悪くなったせいもあるのでしょうが、とにかく、すぐ結果がでるようなものに注目が集まっております。すぐ社会の役に立つようにということで、一年や二年で何らかの結果がでる研究が陽の目を見る時代になっているように思われて仕方がありません。そのなかで、昨日、川端文部科学大臣ともお話をする機会がありましたが、川端大臣はもともと研究者であったこともあって、基礎科学の大事さを非常によく理解をしてくださったと思います。
 この脳科学は基礎科学の重要な位置を占めるものです。すぐ社会の役に立つようなものではありませんが、人間の知といいましょうか知識、知恵といったものに長い目で見たとき非常に役に立ち、貢献し、知的好奇心を満たす学問だと理解しております。このような領域に少しずつ光があたることを心から期待をしているところです。(以下、本文へ)