遺物の保存と調査
高妻 洋成
1987年京都大学大学院農学研究科修士課程林産工学専攻修了、91年同大学大学院農学研究科博士後期課程林産工学専攻単位取得退学。91年京都芸術短期大学専任講師、93年京都造形芸術大学専任講師、95年奈良国立文化財研究所埋蔵文化財センター遺物処理研究室研究員、97年同研究所埋蔵文化財センター主任研究官、2001年より独立行政法人奈良文化財研究所埋蔵文化財センター主任研究官。専門は文化財保存科学。

アンドラス・モルゴス
ハンガリー国立博物館保存部長。博士(化学)。専門は保存科学。建築・家具・遺跡出土木材などの木質文化財の材質・技法調査、保存研究を専門とする。遺跡から発見された木材の保存研究の第一人物。特に、氏が開発したスクロースの常温含浸法はヨーロッパで広く使われている。今津氏との共同研究多数。

ロヴィサ・ダル
1994−96年美術工芸(陶器)を学ぶ、96−97年Lund大学にて北ヨーロッパ考古学を学ぶ、2001年デンマーク王立美術アカデミー保存学部卒業、02年Sodertorn大学にて海洋考古学を学ぶ。01年より国立海洋博物館 ヴァーサ号博物館保存部門。

イングリッド・ハル・ロス
1974−75年Lund大学にて美術史を、75−76年Lund大学にて北ヨーロッパ考古学を、76年Lund大学にて民族学を学ぶ。78−79年デンマーク王立美術アカデミー保存学部の1年教育をうける、81年Cardiff大学考古科学部卒業、88年Gothenburg大学の学位(美術史)取得、2001年Sodertorn大学にて海洋考古学を学ぶ。02年より国立海洋博物館保存科学部長。

今津 節生
奈良県立橿原考古学研究所総括研究員 保存科学研究室長。学術博士。専門は保存科学。出土遺物の材質・技法調査、保存研究を専門とする。常に、考古学に役立つ保存技術の開発を目指している。特に遺跡から水浸で発見された木材の保存に関心をもっている。入手しやすい設備を使って、短期間のうちに、個々の遺物の状態にあわせた安全な保存処理ができる方法の開発を目指して、1994年に糖アルコール含浸法を開発して以来、現在も保存処理方法の改良に取り組んでいる。

トーマス・チェイス
スミソニアン研究機構・アーサーM. サックラー美術館およびフリアー美術館の保存科学研究部部長を29年間務める。ニューヨーク大学美術保存センターのインターンとしてフリアーで仕事を始め、1968年部長となる。97年退職後、青銅器の調査・処理研究を行うチェイスアートサービスを設立。99年から2000年まで、東京芸術大学で保存科学を教える。最近、Lehigh大学の非常勤教授を任じられ、パリでLuc Robbiolaと青銅の腐食について3ヵ月の研究を終えたところ。

村上 隆
1953年京都生まれ。京都大学工学部卒業、同大学院工学研究科修了、東京芸術大学大学院美術研究科修了。学術博士。現在、独立行政法人奈良文化財研究所主任研究官。専門は歴史材料科学。金工品を中心に、材料と製作技術の歴史的変遷を材料科学的な手法を用いて追求している。

肥塚 隆保
東京芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了後、奈良国立文化財研究所に入所。現在、独立行政法人奈良文化財研究所埋蔵文化財センター保存修復科学研究室長。博士(美術)。出土無機質遺物の材質・構造研究と保存処理研究を専門とし、最近では出土ガラス遺物の分析化学的研究を進める。日本文化財科学会評議員、国際ガラス会議(ICG)考古学・考古科学部門委員を務める。

成瀬 正和
宮内庁正倉院事務所保存課保存科学室長。1978年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。83年から正倉院事務所に勤務、同保存課調査室主任研究官を経て、94年より現職。専門は保存科学。特に古代材料史。主としてX線回折や蛍光X線分析を用い、古代の無機顔料や銅製品について研究。最近は正倉院宝庫内の温湿度について調査している。

沢田 正昭
奈良文化財研究所埋蔵文化財センター長。京都大学大学院人間・環境学研究科併任教授。学術博士。1969年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程(保存科学専攻)修了。奈良国立文化財研究所文部技官、同センター研究指導部長を経て、99年より現職。専門は文化財保存科学。調査研究は出土木材、金属製遺物の研究をはじめ、遺跡の保存など。現在は中国古代壁画および塑像の分析と保存修復に関心をもつ。

伊藤 幸司
財団法人 大阪市文化財協会 調査研究部。1984年大阪芸術大学芸術学部工芸学科(金属工芸専攻)卒業、86年同大学芸術学部専攻科(金属工芸専攻)修了。88年より財団法人 大阪市文化財協会勤務(保存科学担当)。専門は保存科学、金工技術史。全関西展1986入選、日本現代工芸美術展1987〜90入選。

北野 信彦
くらしき作陽大学助教授。学術博士。1982年愛知大学文学部史学科卒業。同年財団法人元興寺文化財研究所に入所、同研究所保存科学センター主任研究員を経て、99年よりくらしき作陽大学勤務、2001年より現職。専門は文化財保存学。中・近世漆器や塗料材料である赤色顔料などに興味をもつ。

光谷 拓実
独立行政法人奈良文化財研究所埋蔵文化財センター古環境研究室長。農学博士。1975年千葉大学大学院園芸学研究科修士課程修了。75年奈良国立文化財研究所平城宮跡発掘調査部入所、80年同研究所埋蔵文化財センター研究指導部、95年より現職。専門は年輪年代学。現在は年輪気候学に関心をもつ。

大山 幹成
独立行政法人奈良文化財研究所埋蔵文化財センター古環境研究室。農学博士。1970年鹿児島県生まれ。2000年京都大学大学院農学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、奈良文化財研究所研究支援員。専門は木材組織学、年輪年代学。大学院で顕微鏡およびDNAを用いた木材の樹種同定について研究し、現在は年輪年代学に取り組む。

佐藤 昌憲
独立行政法人奈良文化財研究所埋蔵文化財センター保存修復科学研究室客員研究員。1959年京都大学大学院理学研究科博士課程(化学専攻)修了。理学博士。59〜61年フランス政府給費留学生・パリ大学理学部、69年京都工芸繊維大学繊維学部助教授、75年同教授、95年同大学定年退官(京都工芸繊維大学名誉教授)、95年より現職。専門は文化財科学、特に有機質遺物の材料分析。