文化財の保存と修復 6−科学で探る先達の知恵
基調講演:壬申検査と指定制度
文化財保護への先達の知恵
独)国立博物館 三輪嘉六
文化財に対する関心/文化財保護の変遷/壬申検査/パリ万国博覧会への出品/
文化財の段階的保存/新しい文化財保存の潮流

隠された技法の秘密
源氏物語絵巻を探る
東京文化財研究所 三浦定俊
はじめに/源氏物語絵巻にみられる技法/源氏物語絵巻の科学的調査法/ X 線画像による発見/蛍光X 線による分析/白色顔料の分析

出土赤色顔料の謎
「赤」に込められた古代人の願い
独立行政法人国立博物館本田光子
朱とベンガラ/墓での赤色顔料の使用例/古墳にみられる赤色顔料/ 墓以外での赤色顔料/出土赤色顔料の分析/朱とベンガラの使い分け/まとめ

江戸時代に華ひらいた色金の世界
世界に誇る日本の金工
奈良文化財研究所村上隆
「金工技術」とは/わが国の近世金工と刀装具/金属の誘色/「誘色」のメカニズム/ 「棹銅」と誘色/近代における金工、そして現代へ

貫工法を中心として
不可能を可能にした古代建築技術
東北芸術工科大学宮本長二郎
はじめに/縄文時代の高床建築/貫工法の発展/出雲大社古代本殿/ 鎌倉時代再建東大寺伽藍/おわりに

漆芸の秘法を解き明かす
5000年の人類の知恵
東京文化財研究所加藤寛
はじめに/漆の採取/漆器をめぐる国際交流/ヨーロッパに渡った漆器/ ヨーロッパへの漆芸技法の教授/漆にかかわる疑問/漆器の木地製作/ なぜ、漆器に布を貼るのか/科学的な漆芸品調査で確認できた答え/ 出土した実用漆器の分析/おわりに

うけつがれてきた日本人の知恵
「木の文化」は「保存の文化」
東京国立博物館神庭信幸
木材の利用/倉の原点としての正倉院/木材がもつさまざまな効用/ 文化財に対する木材の効能/木材あるいは木箱の調湿作用

質疑応答・討議
コーディネーター
奈良文化財研究所 西浦忠輝
明治政府の宗教政策と廃仏毀釈運動/源氏物語絵巻における白色絵具の使い分け/ なぜ、朱とベンガラを使い分けるのか/朱の付着した土器は朱をつくる道具か/ 煮色着色の技術は日本独自のものか/技術の伝播速度/蒔絵の技法と布着せ/ 欧米では木材の調湿効果を使っているか/欧米と日本の木材利用の文化/ 遺物・遺跡は当初から保存対象だったのか/中国における朱の使用例/ 科学で探るための保存を