第16回「大学と科学」宇宙を探る新しい目−重力波
新井 宏二(アライ コウジ)
国立天文台位置天文・天体力学研究系助手。理学博士。1997年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了、99年同大学院理学系研究科物理学専攻博士課程退学、現職に就く。専門は重力波実験、特にレーザー干渉計型重力波検出器TAMA300の鏡懸架装置の開発、検出器の安定化、感度向上に従事。

安東 正樹(アンドウ マサキ)
東京大学大学院理学系研究科物理学教室助手。理学博士。1999年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員を経て、99年より現職。専門は相対論実験、特に重力波検出器の開発。

植田 憲一(ウエダ ケンイチ)
電気通信大学レーザー新世代研究センター長・教授。理学博士(東京大学)。1969年大阪大学工学部電気工学科卒業、71年同大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了。71年日本電子開発本部、76年上智大学物理学科助手、81年電気通信大学新形レーザー研究センター助教授、90年同教授、レーザー極限技術研究センター教授、96年同センター長を経て、99年より現職。CO2レーザーの振動回転緩和の研究、核融合用大出力エキシマレーザー、重力波検出用超高安定化固体レーザー、LD励起高出力固体レーザー、高出力ファイバーディスクレーザー、ラマンファイバーレーザー、レーザー用光学素子の開発、超高性能光学薄膜、アダプティブ光学などの研究に従事。セラミックレーザー、ラマン活性レーザーなど新しい固体レーザー結晶の研究で、国内外と共同研究を展開。

大橋 正健(オオハシ マサタケ)
東京大学宇宙線研究所助教授。理学博士。1988年東京大学大学院博士課程中退。東京大学理学部附属天文学教育研究センター助手、国立天文台助手を経て、99年より現職。専門は重力波宇宙物理学。編著書に、『重力波をとらえる』(中村卓史、三尾典克、大橋正健)、『天文学への招待』(岡村定矩編)など。

海部 宣男(カイフ ノリオ)
国立天文台台長。理学博士。1969年東京大学大学院天文学専門課程博士中退。東京大学理学部助手、同東京天文台助教授、国立天文台教授、同ハワイ観測所所長などを経て、2000年より現職。専門は電波天文学、赤外線天文学。野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡、音響光学型電波分光計など新しい電波観測装置を開発し、星間物質からの星形成を研究。その後8.2m光学赤外線望遠鏡「すばる」プロジェクトに参画し、建設をリード。ハワイ観測所長として初めて宇宙からの光をうけるファーストライトを成功させ、地上望遠鏡として最高の性能を実証した。すばる望遠鏡による太陽系外惑星の観測など、宇宙の生命につながる研究に関心をもつ。1998年「星間物質の研究」で日本学士院賞、87年「ミリ波天文学の開拓」で仁科記念賞など受賞。著書に、『銀河から宇宙へ』、『電波望遠鏡をつくる』、『宇宙の謎はどこまで解けたか』、『宇宙をうたう』など。

加賀谷 穣(カガヤ ユタカ)
イラストレーター。東京デザイナー学院グラフィックデザイン科卒業。宇宙や星座、神話や地球自然美をテーマとした作品を制作。月刊『星ナビ』表紙のほか、天文・科学雑誌への寄稿多数。星座シリーズがジグソーパズルなどに商品化されている。作品制作のすべてをコンピュータ上で行う「デジタル・ペインティング」の技法を用い、ファンタスティックに作品を描くのが特徴。2001年全国にて「KAGAYA神話世界展」開催。2000年ヒューレットパッカード社主催「全米デジタルアートコンテスト」にてデジタル・ペインティング部門第1位受賞。著書に、『星世界たんけん』、『太陽系たんけん』、『大宇宙たんけん』など。

川村 靜児(カワムラ セイジ)
国立天文台位置天文・天体力学研究系助教授。理学博士。1981年早稲田大学理工学部物理学科卒業、89年東京大学大学院博士課程修了。カリフォルニア工科大学研究員を経て、97年より現職。専門は重力波物理学、特に重力波検出実験。

神田 展行(カンダ ノブユキ)
大阪市立大学大学院理学研究科数物系専攻教授。理学博士。1993年大阪大学大学院理学研究科物理学専攻修了。東京大学宇宙線研究所助手、宮城教育大学教育学部助教授を経て、2002年より現職。その間、99年より東京大学宇宙線研究所客員助教授、2000年度国立天文台客員助教授。専門は重力波宇宙物理学、高エネルギー実験。現在は特に天体からの重力波の直接検出について関心をもつ。4つの相互作用すべてについてそれぞれ、基本的性質にかかわる実験を行うのが物理屋としての夢。

木舟  正(キフネ タダシ)
信州大学工学部教授、東京大学名誉教授。理学博士。1963年東京大学理学部物理学科卒業、同大学院博士課程修了。東京大学宇宙線研究所助教授、同教授を経て、2001年より現職。1997年仁科記念賞受賞。共著書に、『高エネルギー宇宙物理学』など。

黒田 和明(クロダ カズアキ)
東京大学宇宙線研究所教授。理学博士。1974年東京大学工学部舶用機械工学科卒業、85年同大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。工業技術院計量研究所(現産業総合研究所計測標準部門)を経て、92年東京大学宇宙線研究所助教授に転任、97年より現職。専門は重力波宇宙物理学、特に、日本のTAMA300の将来計画である大型低温重力波望遠鏡(LCGT)計画を推進。2件の特許を有している。

古在 由秀(コザイ ヨシヒデ)
国立天文台名誉教授。東京大学理学部卒業。東京大学、国立天文台長を経て、1994年より現職。この間、国際天文学連合会長をつとめる。97年より県立ぐんま天文台長。専門は天文学。1964年朝日賞、79年日本学士院賞恩賜賞、88年アメリカ天文学会Brouwer賞など受賞。

齊藤 芳男(サイトウ ヨシオ)
高エネルギー加速器研究機構助教授。工学博士。1974年東京大学工学部物理工学科卒業。東京大学工学部助手、高エネルギー物理学研究所助手を経て、89年より現職。専門は真空工学、特に真空中の放電現象および実用材料の表面処理の研究。現在は大型真空装置の設計・開発に興味をもつ。1991年第16回真空技術賞、98年第23回熊谷記念真空科学論文賞受賞。共著書に、『超高真空』(1997)など。

佐藤 勝彦(サトウ カツヒコ)東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。理学博士。1968年京都大学理学部物理学科卒業、74年同大学院博士課程修了。京都大学助手、東京大学理学部助教授を経て、90年より現職。専門は宇宙物理学・宇宙論。インフレーション宇宙論、ビッグバン元素合成、超新星爆発、中性子星、ニュートリノ天文学などの研究を進めている。1989年第5回井上学術賞、90年第36回仁科記念賞など受賞。著書に、『相対性理論』(岩波書店)、『宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった』(同文書院)。共著書に、『ビックバン宇宙からインフレーション宇宙へ』(徳間書店)など。

高橋真理子(タカハシ マリコ)
朝日新聞社論説委員。1979年東京大学理学部物理学科卒業。79年朝日新聞社入社。岐阜支局、東京本社科学部、出版局『科学朝日』編集部、大阪本社科学部次長などを経て、97年より現職。現在は医学・医療、科学技術を主に担当。日本科学技術ジャーナリスト会議理事、女性科学者に明るい未来をの会(猿橋賞選定委員会)理事。共著書に、『どうする移植医療』、『心のデザイン』、『歯無しにならない話』、『独創技術たちの苦闘』。編著書に、『スキャンダルの科学史』、『都市崩壊の科学−追跡・阪神大震災』。訳書に、『ノーベル賞を獲った男』、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』など。

高橋竜太郎(タカハシ リュウタロウ)
国立天文台位置天文・天体力学研究系助手。理学博士。1988年東北大学理学部物理学科卒業、93年同大学院博士課程修了。94年より現職。専門は相対論実験。

田越 秀行(タゴシ ヒデユキ)
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻助手。理学博士。1990年京都大学理学部物理学科卒業、95年同大学院理学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員などを経て、98年より現職。専門は宇宙物理学、特に一般相対論と重力波。

辰巳 大輔(タツミ ダイスケ)
国立天文台位置天文・天体力学研究系助手。理学博士。1997年大阪大学大学院理学研究科物理学専攻修了。97年東京大学宇宙線研究所非常勤研究員、98年日本学術振興会特別研究員(新プロ)、2000年国立天文台COE研究員を経て、現職。専門は素粒子物理学、および重力波天文学。

坪野 公夫(ツボノ キミオ)
東京大学大学院理学系研究科教授。理学博士。1978年東京大学理系大学院博士課程中退。東京大学大学院理学系研究科助教授を経て、99年より現職。専門は実験相対論、特に重力波物理学。現在は重力波検出しか考えていない。著書に、『時空のさざ波』(丸善、1986)。共著書に、『ニュートリノと重力波』(裳華房、1997)など。

中村 卓史(ナカムラ タカシ)
京都大学大学院理学研究科教授。理学博士。1978年京都大学理学研究科博士課程(天体核物理学専攻)修了。78年日本学術振興会奨励研究員(天体物理学/一般相対論)、80年京都大学基礎物理学研究所素粒子奨学生、京都大学理学部助手、88年同講師、高エネルギー物理学研究所助教授、90年京都大学基礎物理学研究所教授を経て、2002年より現職。この間、91年文部省科学研究費補助金重点領域「重力波天文学」代表者、91〜96年文部省学術審議会専門委員、95年より一般相対論と重力の国際協会(International Society of General Relativity and Gravitation)常任委員、98年度日本学術会議天文学研究連絡委員。1990年数値的一般相対論に対し、第5回西宮湯川記念賞など受賞。著書に、『最後の3分間』(岩波書店、1997)。編著書に、『重力波をとらえる−存在の証明から検出へ−』(中村卓史、三尾典克、大橋正健、京都大学学術出版会、1998)など。

藤本 眞克(フジモト マサカツ)
国立天文台位置天文・天体力学研究系宇宙計量部門教授。理学博士。1970年東京大学理学部天文学科卒業、77年同大学院博士課程修了。東京大学東京天文台助手、同助教授を経て、96年より現職。専門は宇宙計量学、特に重力波天文学。著書に、『重力波天文学への招待』。共訳書に、『宇宙科学用語』など。

前田 恵一(マエダ ケイイチ)
早稲田大学理工学部物理学科教授。理学博士。1979年京都大学大学院理学研究科物理学第2専攻博士課程単位取得退学。東京大学理学部物理学科助手を経て、89年より現職。専門は一般相対論および宇宙論、特に素粒子統一理論を基礎にした宇宙論および宇宙物理学。現在は高次元宇宙論(ブレイン宇宙)に関心をもつ。また非線形物理としての重力にも興味を示す。著書に、『アインシュタインの時間』(ニュートンプレス)、『宇宙のトポロジー』(岩波書店)。共著書に、『アインシュタインとボーア』(裳華房)など。

三尾 典克(ミオ ノリカツ)
東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授。理学博士。1982年東京大学理学部物理学科卒業、87年同大学院理学系研究科物理学専門課程博士課程修了。87年工業技術院計量研究所研究員、88年東京大学理学部助手、94年同大学工学部助教授を経て、99年より現職。精密に測定を行うことそのものに関心をもつ。編著書に、『重力波をとらえる』(中村卓史、三尾典克、大橋正健)など。

山岡  均(ヤマオカ ヒトシ)
九州大学大学院理学研究院物理学部門助手。理学博士。1992年東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程中退。九州大学教養部教務員、同大学理学部物理学科助手などを経て、現職。専門は天体物理学、特に超新星爆発とそれにいたる恒星の進化の理論的・観測的研究。現在は突然光度をます天体(突発現象)の検出とフォローアップ観測に興味をもつ。また天文普及にも強く関心をもち、多種の活動を行う。著書に、『驚異の宇宙 ハッブル宇宙望遠鏡画像集』など。

山本  明(ヤマモト アキラ)
高エネルギー加速器研究機構共通研究施設低温工学センター教授。理学博士。1972年自由学園最高学部理科卒業。高エネルギー加速器研究機構物理研究部助教授を経て、96年より現職。1999年ウプサラ大学名誉博士、2000年仁科記念賞など受賞。専門は高エネルギー物理実験・超伝導技術、特に超伝導・低温技術を応用した素粒子・宇宙線物理実験。