第19回「大学と科学」人体にやさしい医療材料
A セッション●基調講演
人体にやさしい医療材料・医療器具― 多孔質を利用した人工骨・人工歯根とガイドワイヤーの開発―
大阪大学産業科学研究所教授 中嶋 英雄
ポーラス金属の製造方法/ロータス型ポーラス金属の作製装置
ガイドワイヤーの開発研究/人工骨の開発/人工歯根の開発研究/まとめ

B セッション●ナノテクノロジーと医療

マイクロ・ナノ技術による医用デバイス― 新しいカテーテル・内視鏡の開発―
東北大学未来科学技術共同研究センター教授 江刺 正喜
ISFET /脳・神経用電極/神経束用多孔電極/圧力センサ/ピエゾ抵抗型絶対圧センサ/能動カテーテル/カテーテル用センサとレーザー治療用内視鏡/マイクロ観察・計測/細胞内イメージング/微量成分分析

ナノテクノロジーの医療とDDS
東京大学大学院工学系研究科・医学系研究科教授 片岡 一則
ドラッグデリバリーシステムとは/ナノキャリアに求められる機能/高分子ナノテクノロジーに基づく超機能化高分子ミセルの創製/高分子ミセルのがん細胞への集積性と制がん活性/第2世代の高分子ミセルの設計/光力学療法と第3世代の高分子ミセル/デンドリマーポルフィリン内包ミセルの創製/加齢黄斑変性への応用/遺伝子治療への応用/ナノテクノロジーが拓く豊かで安心な医療

DNA 検出技術
(独)理化学研究所中央研究所主任研究員 前田 瑞夫
テーラーメイド治療を目指して/ DNA チップの基本原理/ DNA チップによる二重らせん形成率/コロイド粒子を用いる1塩基多型の識別/相補鎖DNA 添加でDNA コロイド粒子が凝集/末端1塩基変異型DNA の識別/金ナノ粒子を用いる1塩基変異識別/1塩基プライマー伸長法による遺伝子の変異検出/金ナノ粒子を使った遺伝子診断

無痛針採血による在宅健康診断チップ
(独)物質・材料研究機構生体材料研究センターフェロー 堀池 浩
在宅健康診断システムの必要性/ヘルスケアチップとは/血管の可視化と採血/ヘルスケアチップの作製工程/センサの開発/肝機能診断チップ/おわりに

ナノ診断のためのバイオナノ粒子
筑波大学学際物質科学研究センター教授 長崎 幸夫
血漿成分の特異的認識/バイオセンシングのための要件/ナノ診断のためのバイオナノ粒子/高性能バイオナノ粒子の設計/金コロイド調製/安定化ナノ粒子の分子設計/金ナノ粒子を用いた選択的分子認識/ PEG 金ナノ粒子を用いた診断システム

C セッション●生体にやさしいバイオマテリアル
生体に馴染む金属材料
東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授 塙 隆夫
金属材料の主な特性と用途/金属が生体に影響を及ぼす形態/金属材料の破壊原因/医療分野での金属材料の用途/新チタン合金の開発/ニッケルフリー合金の開発/ニッケルフリーステンレス鋼の開発/材料表面の形状制御と細胞の配向性/金属材料への要求

生体に学ぶバイオセラミックス
広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授 岡崎 正之
バイオセラミックスとは/歯と骨の構造を探る/なぜ、今アパタイトなのか/歯と骨の形成過程/しなやかさを与えるコラーゲン/バイオミメティック・アパタイトの概念/炭酸アパタイト・コラーゲンスポンジの作製法/生体材料と組織工学との連携

生体機能性ポリマー
東京大学大学院工学系研究科教授 石原 一彦
生体機能ポリマーの役割/材料表面での生体反応/新しい材料創製の戦略/生体構造に着目したポリマーデザイン/人工細胞膜構造ポリマーの創製/人工細胞膜構造をもつ医療デバイスの作製/医療分野への貢献/新しい機能発現/先端バイオ領域への展開

水の働きを制御するポリマー
早稲田大学理工学総合研究センター客員教授 森  有一
ハイドロゲルとは/メビオールジェル水溶液の熱可逆ゾル−ゲル転移機構/TGP での細胞・組織培養/ TGP を用いた血管塞栓術の開発

D セッション●人工臓器と再生医療
細胞シート工学による組織再生
東京女子医科大学先端生命医科学研究所所長 岡野 光夫
はじめに/移植医療から組織再生へ/新しい細胞の培養法の確立
ナノ構造設計による細胞接着・脱着の制御/角膜の再生治療/培養細胞の移植例
心筋組織の再生/細胞シートの重層化と血管新生誘導/培養皿の進歩
フォトレジストパターンの作製

高機能性人工血管の開発
横浜市立大学大学院医学研究科教授 野一色 泰晴
人工血管開発の道のり/人工血管の移植例/人工血管の材料学的特性と構造/人工血管による自己治癒力の誘導/細胞の老化と血管再生/血管細胞の幼若化現象の利用/骨髄移植人工血管へ/細胞移植から治癒力移植へ

人工心臓の開発
東北大学先進医工学研究機構教授 井街 宏
なぜ、人工心臓か/人工心臓の構成要素/人工心臓の開発史/人工心臓の臨床応用の歴史/人工心臓の研究開発を困難にしている要素/材料に求められる要件/血液の流れと血栓形成/人工心臓の材料と弁/最近の人工心臓の臨床応用の動向/完全埋込型人工心臓を目指して

人工関節材料の機能向上― 歩行機能の早期回復を目指す―
日本メディカルマテリアル株式会社顧問 松下 富春
人工関節の現状/人工骨・人工関節材料の市場動向/人工股関節の構造と種類/人工関節が市場にでるまで/新しいチタン合金の採用/骨とインプラントの固定/新しい人工股関節の臨床試験/新しい機能向上技術― アルカリ・加熱処理/新しい機能向上技術― MPC 層形成による摩耗粉発生の抑制/今後の課題

人工骨・人工関節の開発と問題点
大阪大学大学院医学系研究科教授 吉川 秀樹
なぜ人工骨が必要か/理想的な人工骨とは/連通多孔体ハイドロキシアパタイトの開発/ネオボーンの臨床使用例/新規人工関節の開発/おわりに

生体組織工学を用いた再生誘導治療の現状― 再生医療の現状の理解のために―
京都大学再生医科学研究所教授 田畑 泰彦
研究の主要な柱/再生医療の実際/再生医療の医療のなかでの位置づけ/再生医療の分類/生体組織の構成要素/生体組織工学を用いた再生医療とは/細胞の足場の開発/ドラッグデリバリーシステムによる徐放化/内科治療への展開/血管新生の誘導例/血管誘導細胞の移植/ヒト幹細胞を用いた医療の近未来

ポーラス金属を用いた人工歯根の開発― 細胞との結合を目指す―
大阪歯科大学高齢者歯科学講座講師 樋口 裕一
はじめに/義歯とインプラント/インプラントの問題点/インプラント材料としてのポーラス金属の応用/ロータス型ポーラス金属インプラントの創出/ロータス型ポーラス金属に対する生体反応/おわりに

E セッション●医療器具の市場と開発
血管内治療デバイス(カテーテルとステント)の開発
国立循環器病センター研究所先進医工学センター室長 中山 泰秀
血管内治療とは/バルーン療法/バルーン療法の問題点と新規デバイス/ステントの機能化/次世代型薬剤放出型ステント/カバーステントの作製/カバーステントの動脈瘤治療への応用/自己拡張型ステント/おわりに

切開手術を不要にするガイドワイヤー
朝日インテック株式会社メディカル事業部副グループマネージャー 長野  聡
はじめに/医療用ガイドワイヤー/ガイドワイヤーの構造/冠動脈へのアプローチ/おわりに

痛みの少ない注射針を目指して
テルモ株式会社生活医療カンパニーDM 開発技術課課長代理 大谷内哲也
注射の起源/注射針のサイズと用途/自己注射針のトレンド/痛みの少ない針の条件/これからの注射針

F セッション●医療器具審査
医薬品医療機器審査と承認の現状
厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室室長補佐 安田 尚之
医療機器産業政策の基本的考え方/医薬品、医療用具とは/承認の判断基準/なぜ、「業として」か/新医療機器の承認審査フロー/医療機器の特徴/今後の検討課題/国際的な規格・基準との調整/開発と審査の連携