爆発する光科学の世界−量子から生命体まで−
機構長挨拶
自然科学研究機構長 志村 令郎

趣旨説明
立花  隆

一章 新しい光源

オーバービュー
分子科学研究所 松本 吉泰
光とは/レーザー光源とシンクロトロン光源/レーザー光科学の進展/超短パルス光でみる金属表面上の原子の動き/プログラムの概要/光科学の進展と私たちの生活

光シンセサイザーをてのひらに―マイクロ固体フォトニクスの新展開―
分子科学研究所 平等 拓範
光とは何か/レーザー概観/レーザーの歴史/レーザーの基本構成/レーザーの応用分野/レーザーレーダー/マイクロ固体フォトニクス/マイクロチップレーザーの開発/波長変換の問題点/熱問題の解消―セラミック・ヤグレーザーの開発/おわりに

宇宙の光を地上でつくる―シンクロトロン光源―
分子科学研究所 加藤 政博
シンクロトロン光とは/シンクロトロン光をつくりだす/分子科学研究所のシンクロトロン光源/シンクロトロン光の特長/シンクロトロン光源の特徴/シンクロトロン光源の技術の進歩/もっと明るいシンクロトロン光を/新しいシンクロトロン光源/自由電子レーザーの特長/共振器を用いないコヒーレント光発生

二章 光と分子

量子の波を光で制御する
分子科学研究所 大森 賢治
光は、粒か、波か?/波と光の二重性―量子論の登場/量子論は理解できるか/物質の波動性の解明と制御/原子波をリアルタイムで観測/二つの原子波の衝突を制御/新しい量子テクノロジー/量子―古典境界をきわめる

光を吸う分子の木
分子科学研究所 江  東林
葉緑体の反応中心の構造/光合成の反応中心の構造/分子の木で光エネルギー変換システムを実現する/分子の木の合成と光エネルギーの捕集効果/可視光を用いた水の光還元/水に溶ける分子の木を用いた水の光還元と水素発生/分子の木の医薬への応用/広がる分子の木の応用

研究にはセンスと雰囲気、それにプラスαが大切―光触媒を例にして―
神奈川科学技術アカデミー 藤嶋  昭
水の光分解の発見/植物の行っている光合成との類似に感動/太陽光下での水素捕集実験/発想の転換/研究に必要なこと/雰囲気が大切/プラスα/光誘起両親媒性/さらに研究に必要なことは

三章 光と生命体

オーバービュー
京都大学 三室  守
光生物学とは/光と生命の関係/生物における光の作用の基本/光と生命―歴史性の考察―/生物に対する光の影響/二十一世紀における光と生命体の関係

葉緑体の光による細胞内移動
基礎生物学研究所 和田 正三
植物の光利用/細胞内の葉緑体の動き/葉緑体が逃げる速度/葉緑体が逃げる方向/情報の実体は何か/今後の課題

光を見る微生物のしくみ
総合研究大学院大学/基礎生物学研究所 渡辺 正勝
光とミドリムシ/生物が感じる光の色を調べるスペクトログラフ装置/ミドリムシは紫外から青色の光を感じる/ミドリムシの光を感じる目玉を単離する/副鞭毛体からのフラビンたんぱく質の精製/光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)/PACはそれ自体が光を感じてサイクリックAMPを生成する特異的なアデニル酸シクラーゼ/神経線維の伸長ガイダンスのcAMPによる制御/微細藻類は光センサ分子の宝庫

発達する脳を光で見てみよう
生理学研究所 鍋倉 淳一
胎児の発達と動き/脳の発達とは/神経回路はどのように形成されるか/発達期における機能回路の再編成/脳障害の回復と機能回路/脳障害の回復と神経回路/発達期における回路再編成の研究の問題点/多光子励起顕微鏡による大脳皮質の観察/二光子励起観察法の生きた動物への応用

総括
立花  隆

閉会挨拶
分子科学研究所長 中村 宏樹