文化財の保存と修復 13−みんぞく資料をまもる
開会挨拶
文化財保存修復学会理事長 三輪 嘉六

 私ども文化財保存修復学会は、現在、会員数が約1,300名で、大変長い歴史を持っております。昭和8年(1933)に発足し、会の名称についても何度か改名し、平成7年(1995)に現在の名称に改めました。そして昨年には、社会的にも責任をもった活動ができる学会にしていこうと考え一般社団法人化を進めました。今後さらに目指すところは、公益法人として社会に大きく貢献できるようにすることです。文化財の保存・修理を通じて文化財のさまざまが未来に大きく花咲いていくことを信じながら、学会活動を進めてまいりたいと考えております。
 この公開シンポジウムは、文部科学省から一般の方々に学会の活動を理解してもらうような成果公開活動のための科学研究費という助成金を得て展開しております。
 今回のテーマは、「みんぞく資料をまもる」です。みんぞく資料の捉え方は幅広いものがありますが、これまで12回の本シンポジウムのなかで、みんぞく資料をとりあげるのははじめてです。これまで彫刻や絵画、文化財一般、あるいは保存科学、博物館の問題などさまざまなテーマをとりあげてきましたが、今後はみんぞく文化財もしっかりととりこんでいきたい。近年の各地の町おこし、村おこしの流れのなかで、文化財が一般的に非常に広く使われています。そのなかでほんとうに地についた地域の文化財というと、みんぞく資料、みんぞく文化財です。これらは、新しい村おこし、町おこし、あるいは地域住民の力をあわせた活動のなかで今後さらに活用されていくと予測しております。このみんぞく資料をまもることをテーマにして、本シンポジウムをただいまから開催させていただきますので、よろしくお願いをします。
 いずれにしましても、こうした活動を通じて、文化財のさまざまな面での活用の在り方、文化財を保存することの意味を、多くの方にご理解いただけたらと思っております。本日は大勢の方にお集まりいただいたことを、開会に際してまずお礼を申し上げます。ありがとうございました。